ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

旺文社

 私たちの世代にとっては旺文社は代々木ゼミナールと並んで受験産業の双璧だった。なにしろ、旺文社の「赤尾の豆単」はこれを一冊全部覚えてしまえば、受験英単語は多分大丈夫、というような、あたかもオールマイティーな超有名なものだった。「蛍雪時代」をとる、といったら大手を振って許されていたのだけれど、ついつい「文通」の頁から読み始めたりした。文化放送の大学受験ラジオ講座を聴くからといってポータブルラジオを買って貰い、実は栄進予備校提供の土井まさるの深夜放送ばっかり聞いていた。予備校の実力測定試験の他に、旺文社の全国模擬試験を受け、志望校の合格率がどれくらいになってきたといって受験校を絞る目処にした。
 ま、今から考えてみれば受験戦争に明け暮れる私たちの尻を叩いて、大儲けした出版社だとばかり思っていた。
 それが気がついたらとっくの昔に聞かなくなった。と思ったら、なんと今でも一時の苦境を乗り越えて存在していることを知って、驚いてしまった。その上、なんと「蛍雪時代」は今でも存在しているというのだ。またまたびっくり。
 大学受験ラジオ講座、数二B、勝浦捨造先生のあの鼻にかかった声は今でも想い出せる。「この定義は、忘れては困る、という意味で小さな丸をつけておきましょう!」
 ちょっと肌寒くなってくると、不思議なことに受験期のことを想い出す。なんせ二年間苦しんだからね。