スーダンといえば南スーダンができてまだそれほど経っていない。スーダンは石油が見つかるまでは実に貧しい国だった。1975年に油田が見つかってからなかなか開発されない。1983年頃になって英国+エジプト対ソ連+エチオピアの争いになった。
それ以前は実に貧しくて、北部の人たちは石油が開発されて緑の革命がカダフィによって進められていたリビアになだれ込んだ。しかし、カダフィはこれを追い返した。彼らがやってくるままにしておいたら、独裁社会主義が成り立たなくなる。カダフィのやり方は今の中国共産党のやり方をもっと独裁的にしたものだったといえば良いだろうか。いってみれば北朝鮮に近いか。なるほど、北朝鮮とカダフィのリビアは親しい関係にあった。リビアの指定された病院へ行くと、医者も看護婦も北朝鮮から派遣されてきた人たちだったことがある。スーパーでも北朝鮮米を売っていた。
当時は南へ向かう砂漠の中の一本道の両側にはボロボロになったタイヤがそこら中に捨てられていた。それだけ整備の悪い状況でトラックを走らせていたということだ。時としてはトラックの上に荷物を満載にし、その上、白いアラブ風の格好をした男たちが群がるようにして載っていくのを見ることがあった。ひどいときはそんなトラックが横倒しになったのを見たこともある。過積載な上に盛り上がっているから安定性が悪く、タイヤの空気圧が低いからパンクしたりして、ひっくり返る。
どうしてタイヤの空気圧が低いのかというと、砂地の上を走るとき空気圧を下げて、接地面をできるだけ広くして走らないとスタック、つまり砂に埋まってしまう。そうなると、タイヤの前の砂を掻きだして、そこへ毛布や板を敷いて脱出しなくてはならない。乗用車でも厄介なのだから、トラックとなるとその厄介加減は相当なものになる。だから、日頃から空気圧が低いのに舗装道路に乗ってもそのまま走る。そう簡単に空気を入れるチャンスがない。
そんな砂漠の一本道を淡々と走るのは容易そうに見えて結構厄介だ。太陽の照り返しで眩しいだけではなくて、まったく同じような景色の連続に、眠気が襲ってくる。止まって寝れば良いんだけれど、日陰があるわけでもない。走っていないと暑い。エアコンをかけると、オーバーヒートしたりする。
居眠り運転でひっくり返ったりする事故があとを絶たない。それが荷物と人を満載したトラックで起きると悲惨なことになる。救急車や警察の車がこんなところに来るわけがない。通りかかる他の車を捕まえて、先のオアシスの街か、後ろに引き返して助けを呼んでもらうしかない。ほぼ、絶望的だ。
エジプトで事故邦人死亡か 大阪の女性、アスワン近郊
エジプト南部のアスワン近郊で6日、外国人観光客を乗せた車が横転する事故があり、在カイロ日本大使館によると、乗っていた日本人女性1人が車外に放り出された。同行している友人は大使館に対し、女性は死亡したと説明しているという。関係者によると、女性は大阪市出身。女性を含む一行は、世界遺産のアブシンベル神殿からアスワンに向かう途中だったという。(産経ニュース2016.12.7 00:53)
道路上の石にぶつかったとドライバーが証言しているという記事も見たが、この道路が砂漠の中の一本道だったとすると、それはなかなか考えにくい。普通これを見たら居眠り運転じゃないかと咄嗟には思うだろう。アスワンからアブシンベルまでは280kmの距離があって、普通のツアーだと飛行機で往復するはずで、どうして車にしたのかわからないと、この犠牲となった女性の友人がFBに書いている。