床屋で椅子に座る前にコートと、バッグを預けました。そして椅子に座る途端に、従業員の人が「アッ!」と声を上げたんです。えっと思ってみたら、床にゴロンとバッグの中からカメラが転がり出たんです。そういえばこんな場面をどこかで見たことがあるぞ!と一瞬に思いました。前に持っていたカメラが壊れたのは、こんな具合に転がり出たのが原因でした。おっこったというよりは、転がり出た、といった方がふさわしいのです。
今度も、同じ結果が生じてしまいました。カメラはスイッチを入れてもウンでもないんです。簡単に壊れました。いやぁな予感です。カメラメーカーのサービスショップへ持っていったら、直ぐさま修理代を告げられますが、それは新しいカメラを買った方が良いくらいの値段です。
私は従業員に告げました。「丁度買い換えようかと思っていた時期だったんで、どうぞ、ご心配なく」と。従業員の人はとっても恐縮していました。私の髪の毛を刈るのにも、大緊張です。なんせ、もしも私がその筋(どの筋?)の人だったら大変なことになりましょう。散髪を終えて私は家に帰ってきてそのことを妻に話しました。「で、弁償してくれたの?」と聞きますよね。「いや、そのままさ」といって私は涼しい顔をしていました。
なんでかというと、この話が私の妄想だからですよ。