ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

原宿

 一体何年振りなんだろう。表参道の駅(大昔は「青山六丁目駅」私の記憶時点は「神宮前駅」と申しました)で電車を降りて地上へ出るのも、どうやって出たらどこへでるのか、さっぱり見当が付きませぬ。東京に住んでもはや40年ってのに、この界隈を歩き出して半世紀はとうに過ぎたというのに、いやいや、だからこそどの通路を辿ったらどこへでるのか、皆目見当も付きませぬ。表参道を原宿の駅に向かって坂をダラダラと下りますと、左側なんぞは有名ブランドのお店ばかりでございます。一体誰の街だと文句の一つもでようというものです。なんたって、若くてぶうぶういわせていた頃のこのあたりに店なんぞ、ひとつもないといって良いくらいでした。明治通りの交差点の手前に、キディランド、その横にオリエンタルマーケットがあった程度でございましたよ。それが、もはやどこにその二つがあるのか、すぐにはわからないくらいでございます。それを適当に左に曲がりますというと、一体このあたりは昔はなんだったんだろう、みんな民家じゃなかったのか、という記憶なのに、軒並み、洋服屋だったり致します。
 そんなところに世界に7軒しかないという、ポートランド靴屋KEENの直営店があるんです。靴屋です。昨日銀座の好日山荘で今履いている軽いトレッキングシューズの代わりを探したら、もうサイズの在庫が切れてしまったと聞いてがっかりしていたところでした。しかし、ネットショップを見たら、似たようなものがでていたので、直ぐさまポチッとしようとしたんだけれど、靴ばかりはそれは怖くてねぇ。ちょっとサイズが変わっていたりして。それで直営店があったら聴きに行こうと思った。それがここだったんです。
 ちょっと迷いそうだったけれど、店を見つけたので、やれやれと、ズカズカと入っていって、そこにいた若い女性店員さんに、それと覚しき靴を手にして「これはサイズがありますか!?」と勢い込んで聴きました。多分彼女はビックリしたんでしょうねぇ、怯えたように「ちょ、ちょっと見てきます!」とすっ飛んでいきました。
 そこへ男性店員が戻ってきたので、事情を話すと「これは今履いているものよりも片足50g軽いんですよ」という。つまり両足で100g軽い。それでいてソウルは前のと同じパターン。持ってきて貰った靴を試しに履くと、まったく今履いているものと同じ履き心地。しかも!セールでもっと安い!ばんざぁ〜い!
 こころうきうきで、表参道から半蔵門線で永田町へ。2月の国立演芸場の切符を求めようと。
 すると2枚シニアといったら、それだったらふたりの年齢を証明するものがいるという。ふむふむ、確かにそれは正しい。しかし、自分のものしか今日は持ってきていない。じゃ、買い置きで持って、受け取りの時に証明するものをお出しすれば良いんですか?と訊ねると、いやいやそれでは売れないと。は?!電話で申し込んでください、それなら受け取りの時に証明して貰えば良いですから。今ここから電話して戴いても良いですから。えっ!?じゃ、ネットで買えますね?いやいや、電話じゃないとダメです。な、なんで?
 全然意味がわからないのです。さすがお国の運営はまさにそれらしい頑迷さと理解のしがたいものでございますなぁ。呆れるというか、ご立派でございますよ。
 そう言えばよく考えたら、この国立演芸場ってのは昼の部しかやりませんねぇ。夜の部があるのは10日間のうちの金曜日、ただの一回です。それって、要するにここが国立だからなの?だって、他の寄席は上・中・下席全部昼夜やっておりますよねぇ。
 おかしいなぁ、昔からこうなのかなぁ、以前は切符をどうやって買っていたんだろう。何しろ、私は毎年2月中席の鹿芝居を見に来ているんですがねぇ。
 向かっ腹を立てながら、空きっ腹をなにで満たそうかと、考えるうちに、そうだ!日高屋の野菜たっぷり湯麺が食べたくなりました。あのキャベツの案配が昔予備校生時代に食べたお茶の水の湯麺に似ているのです。その上500円だしね。しかし、いくら探しても日高屋が傍にありません。あ、そうだ、有楽町の交通会館の地下のちゃんぽん屋でも良いやと、地下へ降りてみると、なんとあの店だけが工事中のようにしろ壁で囲われ点です。ドテッ!もはやあの店に来る客も年を取り過ぎちゃってこなくなったのかなぁ。
 それじゃしょうがないというので、地下鉄で戻って参りました。いつもの駅で降りて、地上に出ると、すぐ前の天麩羅屋がシャッターを下ろしております。おかしいなぁ、金曜日が定休じゃないはずだけれど、と思って見回すと、横に小さな字で、昨年10月末で閉めたというのです。そういえばここのところ駅で降りてもこっちの出口から出ていなかった。20数年前、子どもの団体のスタッフをやっていた頃、会議やイベントの帰りによく反省会と称して制服を着たままここで打ち上げをやったなぁと懐かしくシャッターを見上げました。そんな思いにふけりながらちょっと行くと、眼鏡屋さんもシャッターが降りています。昔から週に二日は休んでいたからと思ったら、ここにも張り紙があって、昨年末で閉めたと書いてある。えっ!ここも!確かにみなさん、お年を召していたけれど、やっぱり個人商店は今や後継者がいないのかも知れませんよねぇ。お店をやっていたら、旅行にもなかなか気楽にはいけないし・・・。
 うちの近所の日高屋で、それでも湯麺を戴きました。考えることの多い、一日です。

8,942歩