ほぼ足りてまだ欲 その先

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鯉のぼり

 1948年5月。横浜の丘に段々に切られた土地に建てられたいくつもの平屋の社宅が並ぶ中にわが家もあって、庭に一本の丸太が建てられた。その先に翩翻と翻るのはたった一匹の真鯉の鯉のぼりだった。一枚の写真になってのこっている。良くあんなにもものがない時代にこんなものを立ててくれたものだと、今になって考えるとありがたい。
 1978年5月。1DKの家に生まれたうちの息子には鯉のぼりを立ててやる場所がなかった。翌年5月、引っ越した先のアパートにはベランダがあって、その手すりに小さな小さなアルミのポールを縛り、そこにちいさな吹き流し、真鯉、緋鯉を泳がした。小さいけれど、三匹も泳いでいた。