たまたま著者である門田隆将の角川文庫、太平洋戦争シリーズがどれくらい書店の棚に在庫であるのかを見ようと思って新宿の
Book1stに寄ったら、この著書を発見。普通だったらこのようなタイトルの本が戦記物だったりする可能性が高いから、パスするのだけれど、副題が「祖国
アメリカへ特攻した海軍少尉「松藤大治」の生涯」だったので、当初の目的だった太平洋戦争シリーズと全く関係がなかったのだけれど、思わず手にしてしまった。というのは以前にも米国籍を持っていた日本人で特攻隊員となった人が書いた書籍があったからだ。
これは今村茂男本人が英文で書いたものを翻訳したもので、今村は1922年にサンフランシスコ(正確には
サンノゼ)に生まれ、松藤は
1921年に同じ
カリフォルニア州の
サクラメントで生まれている。今村は第十三期海軍予備学生であり、松藤は第十四期海軍予備学生であった。
Book1stが
岩波書店の書籍を特集して並べてあった棚に、現代文庫が並べてあって、何かこれまでに見落としているものがあるんじゃないかと探していたら、見つけたもの。将校、
下士官ではない、徴兵されて従軍した一兵士が赴くままに書いたとも思える筆致で振り返る中国戦線の記録といえようか。タイトルにも気を引かれたけれど、ちょっと頭の部分を立ち読みしていたら、故郷の墓地で見つけた、ちょっと歳上と思われる人の墓が他の人たちの墓に比べて、同じ戦死者でも飛び抜けて立派なことに疑問を呈しているくだりを読んでこれまで思ったこともないことが書かれていたということでもある。