円谷幸吉は、なんでオリンピックで銅メダルを取りながら、「美味しうございました」の遺書を残して自死してしまったのかと思っていた。だって、世界で三番目に走って速かったというのに。大絶賛だったと私には思えていた。彼は国立競技場に入ってきたときは二位だったのだけれど、トラックで後ろから来た選手に抜かれてしまったが、それでも三位だ。
彼が付き合っていた女性がいて、なんと円谷幸吉は自分の手紙、彼女からの手紙を全部ノートに写していたという。なんで、手紙そのものをそのまま保管することなく、ノートに写していたんだろうか。今だったらそのままスキャンして保存してしまうところだろうか。
それなのに、なんで自死したのかと思った。メキシコのオリンピックを前に自衛隊体育学校の校長だった吉池重朝が婚約よりもオリンピックだと、彼女との結婚を破談に追い込み、円谷は椎間板ヘルニアを発症したこともあって、将来に絶望、自死を選んだとこの歳になって知った。
おかしい、なんで世界で三位にもなったのに、競技場の大観衆の前で抜かれたのを苦にしていたのかと思っていた私にはようやく納得できた。
婚約よりもオリンピックだ！が先日の女子駅伝の骨折してもタスキをつなげたレースにつながる。なんだか「玉砕」精神みたいだもの。
