ほぼ足りてまだ欲 その先

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鮭、サーモン

 豪州のタスマニアでは鮭の養殖が盛んです。そもそも南半球にサーモノイドと呼ばれる鮭、鱒の類いは生息していなかったのでこういう鮭、あるいはニュー・ジーランドで釣られている鱒の仲間はみんな北半球から移植されたものだということです。当然チリのサーモンもそうだ、と云うことになるわけです。チリのサーモン事情とタスマニアのサーモン事情はちょっと異なるので、この際一緒にはしません。
 タスマニアホバートから南へ下がった〔このいい方は北半球のいい方なんだろうなぁ〕あたりからサーモン養殖が広がっています。丸い大きないけすは見慣れていないと、いったい何だろう?と目が点になります。入り組んだ、フィヨルドのような地形ですが、それでいて潮が流れるので、養殖で散布したペレットの食べ残しが海底に沈殿する可能性が少ないといわれていますが、それでもやっぱり富栄養化を招くので、定期的に移動したり、傷んだネットを補修したりということで、かなりな体力仕事です。しかも酪農と同様で、えさやりは確実に毎日しなくてはならないので、クリスマス・ホリデー・シーズンでも誰かが休めません。
 で、このサーモンはいったいどこから持ってきたのかというと、元はと云えば大西洋から持ってこられたのです。日本で普通に捕れる鮭とは違う種類で、業界ではアトランティックと呼ばれています。切り身にしてしまうと区別がつきませんが、皮を見れば一目瞭然。ニジマスのような模様をしています。タスマニアでは西部のストローンの沖合でも、養殖が行われていて、観光船に乗ると、養殖いけすによって見せてくれます。
 一説には日本で捕れる鮭は業務用の-20℃まで温度を下げられるような冷凍庫で凍らせて、アニサキスなんかの寄生虫を殺さないと食べられないけれど、輸入物の鮭なら大丈夫なんだ、という説明がされることがあるようですが、それは間違っています。日本でも、養殖物の鮭なら、そもそもアニサキス等の寄生虫がつくことが少ない、それは餌が違うから、という説明が正解でしょう。天然物は天然物の餌を食べているのが普通ですから、それはしょうがない。
 しかし、本当は気をつけたいのは薬を多様に利用し、餌も何を使っているのかわからないような管理に置かれている養殖物だということがいえると思います。
 そういえばかつて米国で収獲されたレッド・サーモンやキング・サーモンの輸入を解禁しないと、豪州産牛肉の米国への輸入を禁止すると脅され続けた豪州はどうしたんですかね?両国ともほとんど鮭を生で食べることをしないから、理由がないけれど、日本だったら生で食べられないからダメっていえただろうになぁ。
 それでも焼いたり、ソテーにすればキング・サーモンは旨いよねぇ!