ほぼ足りてまだ欲 その先

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東京裁判

 ひと頃、東京裁判について本を読みあさったことがある。東京裁判といえば粟屋憲太郎というくらい、粟屋先生の講演会を池袋のジュンク堂の上で聴いたのがきっかけだったか、もう既に興味を持っていて、粟屋先生の講演を聴きに行ったか、どっちだったか、もはや判然としなくなってきた。挙げ句に、聴講生として粟屋先生の一般学生向けの授業を聴きに行ったことがある。そのうちに2008年の11月にメルボルンで国際軍事法廷にかかわる国際会議があると聞いて、そこまで聴きに行った。はっきりいって国際法を十分理解していないと理解の難しい会議だったけれど、東京裁判の裁判長であるウェッブが豪州人だったこともあって、興味深いものがあった。残念ながら東京裁判に関しては「勝者の裁き」であって、敗者にとっては一方的なものであったのだとする戦犯擁護派の論理が邪魔をする。
 その後、元はといえば立大史学科卒でありながら、粟屋憲太郎とはよって来たるところを異にする日暮𠮷延が講談社の現代新書から「東京裁判」を出して注目を浴びたことを覚えている。彼が朝日カルチャーセンターで数回にわたって行ったレクチャーを聴いた記憶がある。
 2008年の国際会議のタイミングで元は英語で出版したものを自身が日本語化した東京裁判本を出版したのが戸谷由麻で、今度はちくま新書から「東京裁判「神話」の解体」を出した。
 これは非常に潤沢な資料を基にした、学術書が底本になっているらしい。多分また東京裁判を認めたがらない勢力はこき下ろすんだろうけれど、この本は東京裁判関係の書籍の中でも、ポイントになる存在となるだろう。

東京裁判「神話」の解体 (ちくま新書 (1365))

東京裁判「神話」の解体 (ちくま新書 (1365))