ほぼ足りてまだ欲 その先

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検閲

 昔うちの学校には有名なマルクス経済学者がいた。ある時から名前を聞かなくなったと思ったら、うちの学校からマルクス経済学者が一掃されてしまったんだそうだ。
 その教師が大きな部屋で講義を始める前に、必ず云うことがあった。「わたしは、天皇陛下をてんちゃんと呼んでおります。この”ちゃん”は敬称でも愛称でもなく、憎悪、侮蔑の”ちゃん”であります!」というのである。初心(うぶ)な学生は一発で目を丸くする。「わたしの授業は全て録音されているだけではなくて、そのまま総長室で聞かれている。それくらい危ない状況だ!」そんなわけはなくて、当時、そんなことをしていたら、大騒ぎだ。しかし、どの教室も教壇のマイクから録音できるようになっていたのは確かだ。修士を終えてから恩師のTA(教師の補助)をやっていた時は、恩師が呼んでくる講師の方々の話を全て録音して、あとから文字で起こしていた。それはとても勉強になった。
 前川喜平前文科相事務次官を講師に呼んだ中学校でも、録音はしていたようだ。文部科学省はそのテープまで提出しろと迫ったらしい。とんでもない話で、あたかもかつての「検閲」そのものであって、言論統制そのものだ。最も問題なのは、彼らがこういうことを中学校側に迫って、何ら不思議と思っていなかったことで、これが高級官僚の考えることなのかと身体が震える。彼らに比べたら、当の中学校長と教育委員会が考えることの方が数段普通だ。貧すれば鈍するというか、腐った鯛の首相のもとでは文部官僚もこんなに平気で腐るのかと驚く。

追記

文部科学省が前川喜平・前事務次官の授業内容を報告するよう名古屋市教育委員会に求める前、文科省に照会したのは自民党文科部会長代理の池田佳隆衆院議員(比例東海)で、市教委への質問項目の添削もしていたことが取材で明らかになった。文科部会長を務める赤池誠章参院議員(比例代表)が文科省に照会していたことも判明した。毎日新聞2018年3月20日 東京朝刊

 つまり文科省の行動というよりも自民党の議員の圧力による教育へのちょっかいだということだ。