前のアパートに暮らしていた時のこと。たかだか38戸の住民の管理組合が順番に回り持ちにしても、やらない奴はやらないので、もう良いからちゃんとやる奴だけでやろうじゃないかということになった。で、何年も理事は同じ顔ぶれだったのだけれど、理事長だけはその中で回り持ちをしていた。
廊下の掃除を外部の業者に頼んでいた。彼らが一斗缶の洗剤を使ってぐるっとやったら、それが余ったらしい。私たちは昼日中仕事に行っているから見ていなかったのだけれど、家にいる奥さん連中の誰かが、そのあまりを当時理事長をやっていた、そのうるさい奴の家の中を特別にやったと指摘した。余ったんだから、どこをやっても良いと思うんだけれど、その人が理事会でそれを本人の目の前で指摘した。私たちは、ま、あり得ることだなと、彼の人となりから考えても、そう思ったものだから、一瞬いい淀んだ。するとその理事長はそれ以来「お前達は言下に否定しないで、俺を疑った！」といってつきあいを止めた。アパートに暮らしていて、その連中と付き合わないんだから、始末に悪い。ま、人徳って奴なのよね。「人徳がない」ってんです。こいつ、未だに通りですれ違っても無視するんだね。そんなこったから、瞬間的にみんなが疑うんだぜ。
