ほぼ足りてまだ欲 その先

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北星余市高

北星学園余市高校(北海道余市町)が、廃校の危機に直面している。5月1日までに一、二年生であと5人、生徒を増やさなければ、来年度から生徒募集をしない。
東京新聞20180413

 同校は高校中退者を全国から積極的に受け入れてきたが、近年は入学者が減少。志願者が定員(140人)を下回る状況が続き、運営する学校法人・北星学園は2016年9月に存続の条件として「2017-2018年度は新入学生を70人以上確保し、2019年度は生徒総数を210人以上とする(いずれも5月1日時点)」ことを決めた。
 同校によると3月22日現在で受験者は65人程度にとどまり、70人に届いていない。【安達恒太郎】
毎日新聞2018年3月24日 08時58分(最終更新 3月24日 08時58分)

 北星学園にとっては余市高は金食い虫なのだ。
 北星余市高には本当に驚かされた。あれは息子が中学を後半半分行くことができないまま、卒業ということになってからのことで、学校を見に行きたいと学校側に伝えたら、月曜日に来て下さいと、当時の深谷校長先生からお返事を戴いた。朝礼を見たら雰囲気が一番わかるからと。前日、つまり、日曜日に小樽に泊まり、バスで北星余市へ行った。でれでれ、だらだらと椅子をぶら下げて体育館に集まってくる在校生を見て、えらいところに来たものだなぁと思った。多分息子もそう思ったことだろう。当時の在校生といったら、暴力的になって自暴自棄からドロップアウトした子ども達ばかりだったから。多くの在校生は今から考えてみれば、誰かからの愛情というか、かまって貰う、という要素が少なかった子ども達ばかりだったのではなかっただろうか。
 その朝礼のあと、深谷校長と、朝から柔道着を着たままでいる伊藤英博先生のお話を伺った。まったく率直な話で、あっけらかんとしていた。伊藤先生には本当にお世話になった。多くの子ども達は他県からやってきていて、学校周辺の方々が受け入れて下さっている下宿、寮に暮らしていた。
 息子はそのうちの寮に暮らしていたけれど、一年生の夏休み後だったかに、寮でいやなことがあってやめたいといいだした。そうか、辛い思いをしているんだったら辞めても良いけどなぁと思っていたが、相談にいったつれあいに、担任だった伊藤先生はそれだったらうちに下宿するか、といってくれたのだそうだ。先生のお宅には三人の息子さんがおられたけれど、皆さん地元を離れていて、その代わりに既にふたりの生徒が下宿していた。そこで下宿をはじめ、書家である奥さん、そして先生のお母さんのお世話になって、無事卒業することができた。
 北星余市高の先生方は24時間営業だった。放課後でも夜でももめ事があればすぐに出ていき、寮でも下宿でも出かけていく。多くの保護者が先生方のお世話になった。イベントの度に保護者達も北星余市高に出かけていき、各地で行われた学校説明会でも出かけていった。私たちは息子の卒業時期に日本にいなかったけれど、家族で参列した。
 北星余市高は生徒達だけが学ぶ学校ではなくて、生徒とその家族も全員が学ぶ学校だった。本当にお世話になった。少しでも、一年でも長くあの学校が続いてくれることを祈りたい。
伊藤英博先生は2013年11月に昇天された。