ほぼ足りてまだ欲 その先

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訃報

 私が最初に勤めた造船所でご一緒させて戴いた方が90歳で膵臓ガンの為になくなられたと連絡が入った。確かに先輩だったのだけれど、そんなに歳上だったのだとはちょっと迂闊だけれど、認識していなかった。先日、当時の上司の方を囲む会でこの方の話が出て、上司だった方が連絡を取ったけれど、容易ならない雰囲気だったとは仰っていたのだけれど、それから二週間も経っていない。
 造船所には地元から採用された人たちがもちろん基本的で、私たちのような東京で採用されて転勤してきた連中は5年かそこらのローテーションで移動していった。戻ってくる場合もあったが、彼らはむしろ覚悟しているから良いようなものの、地元採用者は地元から出ていくつもりを持っていない。ところが会社は何を考えてのことか、地元採用者を無理にも東京へ連れて行ったりしていた。
 この先輩も東京へ異動した。しかし、見ていて気の毒だった。単身赴任で東京へ来て、勝手のわからない街で勝手のわからない生活をしながら、これまでと全く異なる仕事をする。これでどれほどの貢献をすることができるというのだろうかと、とても疑問だった。
 定年後地元に帰ったあと、本当にホッとしたことだろうと思う。
 想い出す度にこの先輩はその思い出の中で伝統的な彼の地の方言でニコニコしながら喋っていた。