かつてゴールデンウィークの連休に子どもを連れて草津の山奥に出かけていた。東京ではとうに春は到来して通り過ぎているというのに、草津ではちょっと天気が悪くなると雪になった。GWにあわせて開通した渋峠はすぐに雪で閉鎖された。
そんな雪の降る中でドラム缶にまきを入れて蒸し焼きの炭を焼こうとした。概ね失敗するのだけれど、火を絶やさずにいることがストレスの解消になった。熾火でパンを焼いた。時には真っ黒になった。
GWが過ぎると桜が咲いた。私たちはその時にはもう東京に帰ってきていた。日常が戻ってきていた。
今はもうそんな日常ではなくなった。今だったら、あの桜を見に行くことも可能だ。けれどもうあの土地自体が他の所有になってしまって行くことができない。いまでもあの桜は立っているだろうか。そしてGWを目処に花を咲かせるだろうか。