ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

散歩で筑摩へ

f:id:nsw2072:20191108232904j:plain:w360:left 筑摩書房という出版社が蔵前にある。それは昔社屋の前をたまたま通りかかって〔といっても江戸通りだから、誰でも通りかかるんだが〕、ほぉ、こんなところにこんな知られた出版社があるのか、珍しいなぁと思っていた。出版社と聞いたら、もっぱら文京区じゃないの?という固定観念があったのかも知れないけれど。
 で、その筑摩書房が今日と明日の二日間は「書店になります」という話をあちこちで聞いた。多分FBかtwitterだったはずだ。筑摩の本というのは結構私の守備範囲にあって、自分の書棚を見ると文庫も学芸文庫も、新書も筑摩のものはかなりある。もっとも単行本の類いはあんまりない。例えば小熊英二を初めて知った「民主と愛国」なんて、とても素人の手の届く値段じゃないものね。
 筑摩書房に到着してみると、狭い場所に若い人たちがたくさんおられて、なかなか書棚を隅から隅までじっくり眺める訳にはいかなった。手元のamazonの欲しいものリストで最近チェックしている文庫があって、それが手に入れば良いなと思って割り切る。一冊は珍しく再刊行された最所フミの「日英語表現辞典」なるもので、これはもうずいぶん昔に出版されて絶版となっていたものだ。ところがtwitterでこの本は面白いぞと書いた人がいて、それが大盛り上がりになって、とうとう復刊するということになったのだそうだ。さすがにこの本について書いている人はたくさんいて、「もともと1980年に出た本で、2004年にちくま学芸文庫に入った」のだそうだ。私はこの本よりも、まず最所フミ自身が気になっていて、むしろそっちからこの本を知った。これは書棚に見つけることができたので、これを抜いて小脇に抱えた。ところがもう一冊が見当たらない。これは小松真一フィリッピンで捕虜になってからの記録。1975年に筑摩から刊行。
 で、社員らしき女性に「こんな本を探しているんですが」と申し上げたら、そこにおられた若い方がすっと席を外し、しばらく経ったら「これでしょうか?」とお持ち下さった。ところがこの女性が、私が小脇に挟んだ日英語表現辞典を目にして「それもお買い上げ戴けるんですね!」とおっしゃる。「そうそう、この人は東京ローズのサンフランシスコの裁判に証人としていった人で」と申し上げると当意即妙で、「中でもアメリカ出身や、アメリカへ留学していた方じゃないんですよね!」とよくご存じで驚く。「よくご存じですねぇ!」と申し上げたら、「私、担当しましたから!」とおっしゃるのだ。こりゃ驚いた。こんな話は書店じゃ出ない、ここまで歩いてきて良かった。

 驚くことに今月の新刊が既に並べてあったんだけれど、出版社だから当たり前。欲しかった一冊を入手。

日英語表現辞典 (ちくま学芸文庫)

日英語表現辞典 (ちくま学芸文庫)

虜人日記 (ちくま学芸文庫)

虜人日記 (ちくま学芸文庫)

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性

〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性

インディアンとカジノ: アメリカの光と影 (ちくま新書 1449)

インディアンとカジノ: アメリカの光と影 (ちくま新書 1449)

 今日は夜に歌の練習会があるので、そのまま直行をする。日頃は軽く口にして、練習から帰ってから、夕飯を食べる。しかし、今日は間の時間があったので、日頃から見ていて食べてみたいなと思っていたやよい軒に入ってみようと思っていた。しかし、近い方の店の前を通りかかったら、食券自販機の前で、若い男が大声で罵倒し合っていた。「なんだ、お前は!」「なんだじゃねぇよ、早くやれよ!」つまり前の男が自販機の前で多分逡巡していたところへやってきた、男が文句を言っているってことだった。確かに、やよい軒の自販機は初めて行ったらあれは迷うよ。それでもう一軒の方へ行ったのだ。