宮城まり子が亡くなった。享年93歳。ねむの木学園を創設してもう半世紀を超えている。吉行淳之介のパートナーだったということは最近まで(といってももう20年ほど経つだろうか)知らなかった。どなたかが書いているものを読んでいて、二人はともに同じBMWにそれぞれ乗っていた、という事実を知った。
彼女は戦後すぐのあの混乱期に歌手として活躍した。「ガード下の靴磨き」には幼かった私も泣かされた記憶がある。歌で覚えているのは多分最初は「毒消しやいらんかね」だろう。テレビ草創期にも随分活躍した。未だに彼女が演じていた「あんみつ姫」を思い出す。もちろん喜劇で、多分あれは生放送だったのではないだろうか。「うわっ!こんなところに"テビレ"がある!」という台詞を覚えている。多分あれはアドリブだろう。ひょっとするとこれは「てんてん娘」ってやつだったんだろうか。
彼女が「ねむのき学園」を始めてからは芸能界からはほぼ引退だったといって良いだろう。ときどき、どこかのテレビ局がドキュメンタリーとして取り上げていたのを覚えている。その度に「随分見なかったけれど、元気なんだねぇ」と話していた。
心の底から尊敬する人のおひとりだった。彼女のことは忘れないだろう。