ほぼ足りてまだ欲 その先

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ムヒ

 かゆみ止めの塗り薬といえば、私の世代ではキンカンかムヒだ。なんで両方ともカタカナなんだろう。キンカンはさすがにもう買う気にならない。しかし、あの匂いが「さぁ、どうだ!」と痒みを仁王様のように押さえつけてくれるような気がする。今のムヒは匂いもしなければ、ぴりぴり沁みることもない。
 ムヒといえば、笑い話があって、もう何十年も前に笑った。
 1985年に「植村直己物語」の群馬岳連隊を中心とした撮影隊がエベレストを登頂していて、その映像が本編に使われていて話題になった。この撮影隊に、当時良く呑み屋で一緒になった男が同行したそうで、標高5千m位まで上がったそうだ。彼は学生時代ラグビー部のバリバリで、自信があったらしい。しかし、そこでももう呼吸は苦しくて、毎晩寝る時に、明日の朝も息していることを願ったという。登山隊のひとりの役で同じようにやってきた役者のひとりが、ある日蜂に刺されたんだそうだ。そんなところに蜂がいることにも驚くのだけれど、その時にシェルパが慌てずに「良い薬があるから待ってろ」といって自分の荷物からとりだしたのが「ムヒ」だったというのだ。いやもちろん彼の話がどこまで本当かわからないが、この話を聞く度に、酔っ払い仲間は爆笑したものだ。彼は今はどうしているだろう。

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