ほぼ足りてまだ欲 その先

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残留孤児

  かつて所沢に、日本に永住帰国した中国残留日本人孤児や家族らのための国の研修施設「中国帰国者定着促進センター」があった。当初は帰国から四ヶ月間をこの施設に滞在して言語を含め、生活習慣を学んで日本に暮らす訓練をしていた。四ヶ月という期間では短いとして、2004年から半年間に延びた。帰国者がどんどん減り、2016年3月で滞在者がいなくなって32年間の活動を終えた。
 半年に延びたか、まだ四ヶ月間だったの頃、この施設へ日本語教室の一環として、native speakersと交流するボランティア活動に参加したことが複数回あった。当時関係していた大学の、心理学を専門とする先生が活動支援をしていたらしく、ボランティアを募っていたことがきっかけだった。一度参加してからは、施設の方からたびたびご連絡を戴いたので、その後も参加した。日本語をマスターするのは大変難しいから、四ヶ月や半年では充分になるわけもなく、彼等はそのまま社会に出ても、相当に苦労したに違いない。仕事もそうだけれど、日本社会は差別がキツくて真っ直ぐ生きるには障害が多すぎる。日本政府はそれほど優しくはない。普通の日本人よりも良い待遇を受けることを許さない。生まれてからずっと日本に暮らしている日本人だってこうなのに、なんで後から帰ってきた言葉も旨くしゃべれない日本人が良く遇されるのかと文句が繰り返される。
 「中国残留邦人等の体験と労苦を伝える戦後世代の語り部育成事業」というものが厚生労働省によって行われているということをTBSラジオの「セッション22」で伝えていた、この事業はなんとたったの3期で終わる。後は民間がどうにかしろといわんばかり。これはひょっとして役所に脈々と流れる根本的な風潮なのか。
国文学研究資料館准教授・加藤聖文がこの活動を紹介している。