ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

コスプレ

 毎年、8月15日に靖国神社の風景がテレビに映し出されるのだけれど、その度に必ず、九大日本帝国陸軍の野戦服みたいなものを着て、38銃のようなものを担いで歩調を取っていく数人のおっさんが映ります。彼等は一体何ものでしょうか。「コスチューム・プレイ」つまり、それらしい格好をして集まって遊ぶ人たちのようですが、それをこの日にあそこでやる理由というのは一体なんですかね?
 あそこには多くの召集されて戦地に行かされ、挙げ句の果てに、弾に当たったり、船が沈没したり、風土病に冒されたり、食糧がなくなったり、して死んだ人たち、あるいは「突撃!」といわれて、やられるのはわかっていながら敵に向かって出ていかざるを得なくて犬死にだったり、効率が悪いのがわかっていながらヨタヨタ飛ぶ飛行機で敵に突っ込めといわれて、「バカヤロー」と叫びながら無駄しにして逝った人たちも祀られていることになっている。そうして死んじゃった人たちは、あのコスプレオヤジ連中を見て、なんと思うと想定しているのか。いや、もう死んじゃってんだから見られるわけはないんだな。とすると、あのコスプレオヤジ連中はあれを誰に見せているんだろう?当然あそこに来る人たちに見せるためにやっているということだね。
 普通だったら、遺族の人たちがあそこへ来るんだろうし、そういう人たちが主役なんだろうな,もうほとんどあそこへ祀られている人たちを直接知る遺族は極端に減っているだろう。うちの叔母も旦那が死んだら、白木の箱に石が入ったままで届けられたわけだが、数年前に103歳で他界した。その人たちは、あれを見てどう思うんだろうか。慰めになるんだろうか。ガダルカナルで死んだといわれているあの叔母の旦那の最後はどうだったんだろうか。

f:id:nsw2072:20200817014315j:plain

 いつだったか、末広町の中央通りを歩いていると、向こうからナチスのグレーの軍服を着た若者が歩いてきた。ぴかぴかの長靴を履いていた。あれよあれよという間に建物の中に入っていったが、明らかに日本人の彼は、なんであんなおぞましいナチスの出で立ちでいたのだろうか。あれが欧州だったら、すぐさま連行されただろう。
 いわゆるA級戦犯が合祀されたのは1978年のことだ。それ以来天皇靖国へ来ていない。あの差別主義者の石原慎太郎が昨日、靖国で「首相は当たり前だけど、天皇陛下に参拝していただきたい。なぜ参拝してもらえないのか」日本武道館で全国戦没者追悼式が営まれていることに触れ「一足伸ばして、天皇陛下と首相はなぜ参拝しないのか。何で遠慮してるんだ」と来ている人たちに語りかけ、やんやの喝采を浴びたのだそうだ。なぜ天皇が行かないのか、そんなことは非常に明白で、東條英機をはじめとする、国民を310万人も死の世界へ追いやり、2000万人ともいわれるアジア諸国の人たちを死に追いやった連中に頭を下げる気はないということだ。ましてや、靖国には得体のしれない連中も同様に祀られてしまってある。あまりにも杜撰であり、あまりにもいい加減だ。これが今の日本を支えてくれているんだなんて、むちゃくちゃな言い分もないものだ。見殺しにしておいて、復讐されるのがイヤだから「英霊」と呼んでいるなんて、卑怯も良いところだ。どうもすみませんでした、申し訳ありませんでした、とお詫びするしかない。戦友会には出席しても、戦争のことを子どもたちには語らなかった義父もさぞかし、辛い場面をたくさん見てきたんだろう。ご苦労様でした。本当にお疲れ様でしたと今こそいってあげたい。