Londonへ出張したらバーバリーのトレンチコートを買ってくるというのが流行っていたのは今から40年ほど前のことだったか。幸いというか、残念にも、私の背丈ではサイズが合わなかった。裏地が例のバーバリーのタータンだったのが洒落ていたんだけれど、あの柄を平気でマフラーやシャツにしちゃった連中がいて、裏地のパターンばっかり流行った。
日本では三陽商会がライセンシーとなって、日本人にあったサイズのコートを売り出し、一時期は朝の通勤時に後ろから見ていると、軒並みあのタイプのトレンチを着たサラリーマンばっかりになった。広告にも有名人が登場していたんじゃなかったかと思う。
その三陽商会がとうとう160の売場から撤退することになったそうだ。そりゃ無理もないというか、もはや着るものがどんどんカジュアル化してトレンチなんて流行らないのではないだろうか。そういえばオンワードも一年前に全店舗の4分の1近くにあたる約600店舗にも及ぶ大規模閉店を発表した。そのあとからCOVID-19だから、良くなるわけがない。
時代が大きく変わっていっているということを認めないわけにはいかない。業態を変えていくしかないだろう。その一方、そうしたファッションを愛好していた人たちは、とうとうその供給源を見失うことになる。トラッドを愛好してきた私もとうとう着ることもなくなったが、いざとなった時に、調達する先が見つからない。メーカーもさることながら、愛用者もそろそろ退場時期だってことだろうか。
