突然思い出した。
大阪梅田の阪急三番街に1990年5月に設置された噴水は2017年6月に撤去されてなくなった。思い出したんだけれど、三番街全体のリニューアルについて阪急から全体の仕事を受けていた読売広告の下請けの会社からの問い合わせを誰かが受けた。見積もりを出してくれといわれて、West HollywoodのWET designと組んで出した。すると、なんと、塩ビ管が単価いくらで、何メートルだからいくらで、という明細を出せ、といわれて驚いた。この人達はひょっとするとゴッホのひまわりの絵を額縁の材料の単価から明細を出させるのかと。赤の絵の具を何グラムだからいくらかとか出すのかと？その時点で「それでは辞退致します」と引けば良かったんだね。
もう30年も昔の話だからもう実名を出しても良いだろうと思って書いているんだけれど、商業施設のデザイン、設計、なんて最先端の仕事だと思っていたんだけれど、旧態依然とした仕事のやり方で、あれあれと驚いた。しかし、当時の私の立場は非常に微妙で、その前に配属された部署は右下がりもまっただ中の業界で、まともにやる仕事もなくて、できる可能性があるものはなんにでも捉まろうという状況だった。しかも、このコンセプトは私が探してきたわけでもないけれど、ひょいと渡されてしまった仕事だった。
後から考えると上手い具合にはめ込まれてしまったのではないかと思われるものでもあったのね。やめておけば良かったのに、だったらどうなるかわからなかったんだよなぁ。結果的には同じだったが。
つうわけで、完成したあとでは、たった一回密かに見に行っただけだった。
