ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

もう11月が終わりますね

 というわけで、11月も終わりますが、今年は散歩に明け、散歩にくれる一年でございました。今日も今日とて、千住に古い建物があると聞いたので、そっち方面にでかけましたが、片道4mほどございますので(歩きゃいい運動ですが)バスに乗っていきました。このバスが一時間に二本しか来ませんので、ちょっと油断すると乗り逃します。

 千住中居町15-1にあります「 NTT千住ビル」を見に行きました。といっても外観が見られるだけですが、日光街道から裏へ入ったのが失敗だったというか、この界隈の裏道を甘く見たといってもいいかと思います。一本裏の道を日光街道に沿って北上すれば良いんだとうろ覚えで千住警察入口と書かれた交差点を左へ入ったのがそもそもの間違い。この道はどんどん北西に日光街道から離れていく路だったのです。

 知ったかぶりのまま歩くと、千住神社に遭遇いたしました。いやいや、これはりっぱな銀杏の木が立っているなぁと思ったら、昭和20年(1945年)4月10日の空襲で神社に爆弾が落ちて、この木も焼けたんだけれど、こうして生き残っているというのです。植物の生命力ってのはすごいですなぁ、動物じゃ目も当てられない。この神社の境内には「八紘一宇」の石碑がそのまま建っております。確か千住大橋の畔にも八紘一宇の石碑がありますが、こういうものは戦争に敗れて、空疎な話だったんだと撤去には至らないものなんですねぇ。70年やそこらじゃこういう考えは人々の頭から払拭されないのかも知れませんねぇ。
 と、そんな事を考えているうちに、おじいさんはどんどんトイレが近くなりましてねぇ、考えがまとまらなくなります。やばいなぁと、思って、右へ曲がり、どんどん行くと、なんと消防署の前がその「 NTT千住ビル」でございました!

旧千住郵便局電話事務室 (昭和4年、1929年竣工)。
設計者:逓信省技師 山田守(日本武道館の設計者)。
建築:大倉土木
全面スクラッチタイルですから、見た目の落ち着き具合と、角の部分の丸みがなんともいえず気持ちよくて、できることなら、直接手で触っていたいと思うような雰囲気がありますよね。ウィキペディアによると、解体しようにも非常に堅牢にできているので、思いもよらぬほどの費用がかかるだろうということですが、ということはやつらはこの建物を解体しようと考えた、という証左にほかなりません。かつては逓信省の持ち物だったわけですが、郵便局も、電電公社も民営化されてしまって、こういう建物に対する考えも、利益最優先の民間企業的価値観のもとに、もはや風前の灯かも知れません。日本という国は鉄道に見るまでもなく、バカがぶち壊してきているわけです。

 さて、そうだ!トイレを探しておりました。「 NTT千住ビル」に沿って曲がるとそれが中居堀通りという日光街道の一本西側のとおりです。その先にマルアイというスーパーのビルがありました。このビルには見覚えがございます。3階に上がりますとそこは今時珍しいボウリング場です!とてもきれいに掃除が行き届いたトイレに飛び込みました。次の機会にこのビルのどこかでなにか買い物をしてお返ししなくちゃね。そうだ、びっくり・ドンキーでハンバーグが良いな!

 お次は中村畳店の純和風木造店舗を探しに行きます。北千住駅前通りのバス通りを西へ行きます。この通りにあるのかと思っていたんですが、どうも違いそうです。ここでやおらスマートフォンを取り出して調べると(最初っからそうしろよ、おっちゃん!)、今渡った大正通りを北上しろとございます。そういうことだったか、と歩き出すと、この大正通りがうらぶれた昭和の薫りプンプンする通りでございます。

 程なく三角地点に「日本共産党」という看板を掲げた2階建ての仕舞屋がございます。いや、良いですねぇ、おじいさんが2−3人おられましたが、中にはいっていって握手してくれば良かった。外には女性議員のポスターばかり。田村智子、西の原えみ子、吉良よし子、斉藤まりこ!良いね良いね。

 その先に、民家の間からポッカリと広い、しかし、土が広がるだけでなにもない、セコく仕切りを付けたベンチしかない、でも公衆トイレはある、公園と思しき空間に遭遇。いまどき不思議な、しかし、魅力的な空間ですよ。千住龍田町足立区立千寿第六小学校跡だと地図には出てきます。1992年に千寿第七小と統合し足立区立千寿桜小学校となったんだそうです。(現在児童数約500。校歌の作曲者は團伊玖磨。)30年間このままだというのが良いね。


 2つ目の信号の角が中村畳店でございました。二階のテラスの柵はアルミになってしまっていますが、二階の雨戸も、そして一階は全てオリジナルなのか、全て木造の建具のままです。一間間口の住居側入り口の格子建具がとても良い。店舗建具もそのままで、ガラスもそのままで、その証拠にペンキ書きしてある電話番号に白で3の字を加えている。信念のある手入れと保存状態が主の気持ちが現れているんだろうなと、見ているこっちが勝手に想像する。こういう建物を見ると気持ちが良い。

 そのまま日光街道に出ずに、すぐの路地を右に入りました。これが大正解!藤棚の黃葉に見とれながらくねくねに身を委ねていくと、全くひと気を感じないお宅の庭にそびえた二本の柿の木が、葉を全部落として枝という枝に柿をこれ以上つけられませんというほどに満艦飾につけているのです。向こうから来たおばさんも早速ブツブツ凄いわとかいいながら、スマートフォンを取り出して撮っておられます。しかし、青空くっきりだったらまだしも、どんよりくもり空を背景にはなかなかうまく撮れません。晴れたらもう一度来たいね!

 帰りは北千住の駅へ出て、食べ物を買って帰る。