前にも書いたかもしれないけれど、この本はものすごい量の労力がかかって著されていることがわかる。なにしろ、当時あれだけ軍によって検閲が徹底されていた状況下で、全国紙だけでなく各地方紙、全国紙の地方版を徹底して洗いざらいチェックして、それでもこぼれてきた記事の中に、南京事件にまつわる記事を探しまくったというのである。一度マイクロフィルムをチェックしたことがある人であれば、その作業がどれほど途方がなくて、絶望的なことか、想像がつく。
マイクロフィルムを作るには、現物をカメラで撮影したわけだけれど、カメラは中心部のピントを調整してもレンズの周辺部でピントが合っているとは限らない。
これほどの作業をしようとするのは流石にプロというほかない。