昨日は新宿で久しぶりに一人だったので、とことこと昔のように紀伊国屋まで歩く。地下で昼飯を喰おうと入っていくと、まだ1時にはなっていないのに、うどんの「水山」に全く人の列はなくて、覗くと充分に空席がある。こりゃラッキーかも知れないなと入ってすぐさま「ちゃんぽん」を頼む。
やってきたちゃんぽんを見て、おどろく。器がちっちゃくなってる。どんどん新しいメニューができているようで単なる「ちゃんぽんうどん」の他に「長崎ちゃんぽん」というものまでできている。「釜玉うどん」やら「大海老天うどん」なんてのも昔はなかったな。ま、有り体にいってしまえば値上げのための一方策、とでもいうのだろうか。今月から丸の内オアゾにもお店ができたんだそうだ。
たまには紀伊国屋の地下の別の店にも入ってみたいんだけれど、カレーで一食埋めてしまうのももったいないし、とんかつではカロリーが高そうだし、スパゲティを外でまで食べる気にもならないし、どうしてもここのうどんになってしまうのだなぁ。
「戦後日本スタディーズ(1)40・50年代」
これに続いて60・70年代、80・90年代があって全三巻である。本体だけで2400円するし、370頁と重たいので他で買えばいいか(つまり家に近いところ、長くもって歩かなくても良いチャンス)と思ったのだけれど、これは紀伊國屋書店刊行なんでここで買うことに意味があるかも知れない(実際はないけれど)と購入。そうするとオマケにお菓子をくれた。意外な取り合わせに一瞬ぎくっとする。214頁から井上ひさしのインタビューが載っていて、彼の脚本で「東京裁判三部作」と呼ばれている芝居があるんだということを初めて知った。その脚本を手がけたきっかけは10年ほど前に西春彦(元外交官、東郷茂徳の東京裁判における日本側弁護人)の東京裁判資料がごそっと古書として出て、東大と争った挙げ句入手したことから始まったのだという。
井上ひさしの芝居のことも知らなかったし、西春彦のそんな資料があることも知らなかった。
井上ひさしの言葉には説得力がある。彼の発言を聞いたり読んだりしているとなるほど、その通りだと思うことになる。時々こういう人がいる。小田実もそうだった。保阪正康もそうだ。こういう人の言葉を定期的に浴び続けないとなんだかわからないセリフに振り回されてしまうような気がする。くわばら、くわばら。
今月いっぱい紀伊国屋本店では5階でこの三巻完成記念で関連希少本を並べて売っている。
「東京大学のアルバート・アイラー」
東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 (文春文庫)
- 作者: 菊地成孔,大谷能生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/03/10
- メディア: 文庫
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とはいいながら私は菊地成吼がこんな本を出していたことを全く知らなかった。いやいや、この世の中は私の知らないことだらけなので、今更何も驚くに値しないのだ。だけれども、どうも世の中ずっと前から菊地に大フォローの風が吹いているらしくて、前にも書いたけれど、先日なんかはあのNHKで番組になっていたくらいなのである。その上、この本はかれが大谷能生という人と一緒に東大の教養学部でゼミを持ったという話なんである。彼の書いたものを見るとなんだか「話の特集」を想い出してしまうのである。そうなんである。彼はひょっとしたらもう60代で、あの植草甚一の弟子だったのだろうかと思ってしまうくらいのもんである。やはり新宿が似合う理由がわかるのだ。