ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

花形歌舞伎

 お誘いくださる方がいて、小雨そぼ降る新橋演舞場に「花形歌舞伎」夜の部に出掛ける。席は随分前だけれど、結構右の端っこだった。それでもこれまでにこんなに前の席から舞台を見たことがないので、いろいろなことがわかった。やっぱり迫力は全く違うということ。花道はよく見えるだろうと思っていたけれど、やっぱり間の席に座っている人の影がかなり邪魔になること。ツケの音が結構大きいということ。太夫の顔がとってもよく見えること。
 「三人吉三巴白浪」の4幕は河竹黙阿弥の作で本当は六幕あるんだそうだけれど、今は四幕のシナリオになっているんだそうだ。いやいや、実に複雑な人間関係の芝居で、これは唯なにも聴かずに読まずに見ていたら全くなんのことやらさっぱりわからないという類の芝居。ようやくこの芝居のストーリーがわかったぞ。
 菊之助はうまいなぁ。松緑はそのうちもっと良くなるんだろうなぁと思うんだけれど、なんだか私の友達が花道から出てきたのかと思ってしまった(友人の一人がそっくりなことに気がついた)。もうちょっと時間がかかるかもしれないけれど。
 鬼揃紅葉狩(おにぞろいもみじがり)の亀治郎猿之助の演出も相まってやんやの拍手喝采をとっていた。
 それにしても大向こうからの声なんてこの若者たちにはかからないものなのか?
 そうそう、思い出したから書いておこう。「月も朧にしらんおのぉ・・」ってのはこの冒頭のお嬢吉三の名台詞だけれど、私は朧月と来てその上しらんお(白魚)なんだからほかほかと暖かくなりかかっている情景をずっと頭の中に描いていたんだけれど、実は俳句の季語の「朧月」にしたって「白魚」にしたって「春」ではあるけれど、なにしろ先取りしちゃうもんだから、この芝居にしたって、「この年はなにしろ雪が多い」といっているんだからまだまだ寒い冬なんだよなぁ。
 このセリフから先はお坊吉三との絡み、そこに出てくる和尚吉三が入ってきて、義兄弟のかための杯(気持ちの悪いことに腕を切ってそこから垂れる血を素焼きの杯にとって飲み交わすという奴だよ)までずっと七五調のセリフつながりだ。流れはとっても良いのだけれど、良すぎて眠くなっちゃうというくらいのものである。(一度ガクっとしたなぁ・・・)。