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外国人研修生ビザ

 朝日新聞 061014 14版 第2社会 p.34

悪質企業の罰則強化へ 外国人研修生 待遇改善狙う 厚労省
低賃金労働などが問題になっている外国人研修・技能実習生について、厚生労働省は13日、悪質な受け入れ企業に対する指導や罰則を強化する方針を固めた。入国管理法の改正など必要な対応について法務省など関係省庁と協議する。労働基準法などの保護を受けず、立場の弱い研修生の法的保護のあり方や新たな在留資格の創設なども検討。有識者の研究会を18日に発足させ、年明けまでに対策をまとめる。外国人研修・技能実習は、最初の一年間は研修し、その後、二年間は技能実習として働くことができる制度。しかし、実質的に低賃金の単純労働者の供給源になっているとして、政府内や自民党などから見直しを求める動きが出ている。厚労省では、最低賃金を大きく下回る時給で実習生を働かせたりする不正が相次いでいることから、受け入れ企業の審査要件を厳格化する。不正行為をした企業に対し、研修・実習生の新規受け入れ停止期間を現行の3年から5年に延長する方向で法務省と協議する。

 たかだか三段の記事でほとんど目立たない記事である。研修ビザが初めて導入されたのは1982年とすでに20年以上が経つが、どんどん雇用側に有利になるように拡大されてきた。1991年には法務省労働省通産省、外務省、建設省五省が相乗りで所轄する特殊法人「国際研修協力機構(JITCO)」を設立。何を考えていたのかはこれひとつをとっても大体の推測ができそうである。元自民党参議院議員で労働大臣を務めた村上正邦が最近雑誌等に登場するが、彼の秘書であり、その後参議院議員となった小山孝雄と古関忠男のKSDの疑惑にはこの研修制度の制度改正もからんでいる。それまで研修期間だけだったのに、1993年に実習制度が追加されて、合計2年のプログラムになり、それがまた合計3年のプログラムへと改定されてきた。つまり、実態を云えばたった一年では効率の悪かった外国人の労働(形の上では研修と実習)期間をついには三年までこき使うことができるようになったというわけである。
 これは昨日の参議院予算委員会市田議員の論議が、日本の若者、日系人等のビザで入国してきた日系外国人の労働搾取の効率化である製造業への派遣の開放、請負という形をとった労働搾取であるのと同じように、外国人の未熟練労働者からの労働搾取である。
 今ではどれくらいの数に上っているのか知らないが、研修ビザで国内で逃げてしまって、不法滞在となり、暮らす外国人の存在は明確に分かっていた。パスポートを預かる、あるいは帰国時に払うと云って強制預金をさせると云った不正行為が巷では語られている。行政は見て見ぬふりを続けてきた。
 今回のこの記事を見るとどう考えても扱いの小ささと記事の書かれ方から見ると、厚労省の発表ベースだろう。新聞社の独自取材であれば、この裏にどんなことがあるのかを語らないわけはない。この法令をまっとうに適用しようとするとこの制度で機能している一次産業、1.5次産業の零細企業で成り立っている現場は機能しなくなる可能性が大きい。いや、消費者、小売り、そこに対する卸といった流通も含めてそれぞれが価格が上がることを了承して理解するのであれば解決がつく。しかし、本来的にここまで慮るだろうか。と、こんなことを云う奴がいるから解決が付かないか。先日前法務省副大臣たる河野太郎のメルマガにあったように法務省が本気になって外国人労働者を受け入れると覚悟を決めたので、ここにも手をつけようとすると云うことか。
 請負、派遣でメリットを享受しているのは政党に対して大きな力を発揮する大企業連合だけれども、こちらは本当に力を持たない零細企業であり、その結果負担が増えるのは単なる消費者だから、多分そのままかっちり適用しても与党にとっては影響は少ないとでも云うことか。柳沢のおっさんはどんなことをいうのかね。どんどん雑誌でばらしているんだから、村上のおっさんもこのさい暴露したら面白いのになぁ。