ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

久しぶり

 《写真:有楽町駅の脇に建築中の○I○Iの新店舗ビル。昔のあのごみごみとした界隈が懐かしい。》
 長部の一枚目のCD、「Happy Coat」は今度ゴールドCD(蒸着膜にアルミニウムのかわりに金を用いたもの)になるのだそうだ。あのCDはもともと完全にアナログで作られているという。録音は2002年2月にハリウッドのキャピタル・スタジオで行われ、二度のグラミー受賞のエンジニア、Erik Zoblerとこれまた十一回もグラミーを受賞しているミキサーであるAl Schmittが担当したという素晴らしいスタッフで行われている。長部の話だとAl Schmittがよもや受けてくれるとは思えなかったのだけれども、レイ・ブラウンとともにレコーディングに参加し、昨年から今年にかけてはトニー・ベネットの全米ツアーに帯同していて来日できなかったドラムスのハロルド・ジョーンズがとにかく頼んでみろよ、というので声をかけたらなんと受けてくれて感激したのだという。
 キャピタル・スタジオはナット・キング・コールチェット・アトキンス等が愛用したスタジオとして知られているが、驚いたのは、このスタジオのリバーブである。このスタジオの地下には大きさの違ういくつかのコンクリートで四方、上、下ができた部屋があるのだそうだ。録音の際にどの程度のリバーブをかけるのかによってそのコンクリートの部屋を選び、そこにおいたスピーカーから音を出し、反響した音をまたマイクで拾って戻すというまことにアナログティックなリバーブをかけるという方式を採用しているという。今時のデジタル録音なら電子的にリバーブ効果だし、かつてはアンプリファイヤではスプリングを利用したりする。しかし、このコンクリート部屋での反響をそのまま利用したリバーブを使うという手法には驚いた。ピアノにも二本のマイク、ベースにも二本のマイク、ドラムスについては6本とか8本とかのマイクを立てて録音するだけでも大変だなぁと思うのだけれども、リバーブだけでもこれだけの気を遣っていることを考えると、本物を創り出すというのは、当たり前のことながら、なんと面倒で、金のかかることなのかと唖然とする。調整卓だけでも10万ドルからするというのだから本当のプロが用いる機材は想像を遥かに超えているということなんだなぁ。ただでついてくるGarage Bandすら思う通りに動かすことのできない自分が情けないね。