ほぼ足りてまだ欲 その先

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悪役

 遠藤太津朗といっても全然ぴんとこないのだけれど、顔を見たらすぐさま「あ、あの悪役の俳優はこういう名前だったのか!」と思い当たる。「山崎屋ぁ、そちも悪じゃのぉぉ」をやらせたら沼田曜一や上田吉二郎にも引けを取らない回数を演じているに違いない。沼田曜一は若い頃は結構二枚目をやっていたのだけれど、どこからどうなったのか極悪非道の原子力むらの住民のような役にはぴったりだった。
 私にとって最も古いこの手の時代劇悪役はまず進藤英太郎だった。彼は戦後1956年から東映の専属になったそうだけれど、それまでに様々な経験を積んだ俳優だったようだ。彼が悪代官やら悪大名やらで実に憎々しげな演技で子ども心に「いやな奴だ」と思ったものだ。そしてその相手の山崎屋は吉田義夫だ。野球の吉田義男と良くどっちがどっちの漢字だったか迷う。当時の東映時代劇、極めつけの悪役はあの声といい、表情といい、それは月形竜之介だろう。進藤英太郎はフリーに戻ってからどんどんコミカルな役に起用され、晩年は結構親しみやすい役柄をテレビで演じていたのだけれど、そこへ行くと月形竜之介吉田義夫がそういう役回りをやったという記憶はない。
 上田吉二郎も晩年は結構滑稽な役をやっていた記憶があるが、驚くべきことに彼は70歳にもならずに他界している。随分歳になっても見ていたような気がするのだけれど、それは彼がそれだけ老け役をやってもおかしくなかったということになる。
 さて、そこで遠藤太津朗なのだけれど、あれだけしょっちゅう悪役としてテレビに登場していながらほとんどその素顔が取り上げられることなく、85歳で他界である。
 かつて東映の悪役専門だった八名信夫が悪役紹介という悪役俳優ばかりを集めたグループを構築したことがあったけれど、彼が青汁の宣伝で名を馳せた位だった。