ほぼ足りてまだ欲 その先

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店じまい

 どうもここのところ店をたたむ飲食店を良く耳にする。鳥繁も店を閉めたというし、何とかっていう関西の有名な鰻屋さんも店を閉めたらしい。
 京橋の明治屋八重洲ブックセンターの間にある「京すし」という鮨屋も今日を限りに店を閉めることになった。2-3ヶ月に一回くらい、昼の握りを食べに行くのがわが家のご馳走だった。夜いくと良いように呑んで食べて1.5万円だったらしいから、ほとんど夜は行ったことがない。それでも大学の先輩だったから私はいつでも一人1万円しかとられないとわかっていてもなかなか行かれない。
 どうもあの辺が大開発になるんだという噂は昨年の春頃から流れてはいた。そういわれてみるとあの近辺の建物の中にはなんだかもう誰も使っていないような建物が散見される。それでもこの店は確実に地権者として再開発後も店を続けるんだとばかり思っていた。ところが昨年の秋になって「店をたたむらしい」という噂を聞いた。そんなこたぁないだろうと思ったのだけれど、旦那が心臓の血管をステントを入れて治療したことを思いだして、あ、弱気になってきているのかも知れないな、そういえばあのあとちょっと老けたような気がしないでもないなと思っていた。そりゃあり得ない話じゃないなと思い始めた時に、共通の友人の一人があの近くのフランス料理屋で聴いたんだけれどといって再開発で買い上げられちゃうという話は本当か?その後店はどうするんだろうか、というから本人はいわないけれど、こんな噂があるんだよといった。それから先入ってくる噂はそれを裏付けるものばかりだった。しかも、店じまいは年明けの1月だという。しかし、本人は顔を合わせても何も言わない。本人が言わない以上、確かめるわけにもいかない。
 12月に入ってもなにもご本人から聞かされないからと、京都に行った帰りについでのようにして食べに行った。私たちの他にはひと組、お金持ちらしき人たちが来たくらいだった。熱燗を2本くらい呑んだだろうか。すっかり酔ってさぁ帰ろうとしている時に、やおら封筒を渡された。それが店じまいの挨拶状だった。そういう人だ。「幕を降ろすことに相なり」と書いてあるのを見たら不覚にも涙がこぼれちまった。なんだよ、随分水くさいじゃねぇかという気持ちも入っている。
 暮れも押し詰まった時にカナダ在住の友人を誘って食べに行き、年が明けてからいつもの落語のグループで食べに行き、昼は二回行って舌にこの店の鮨を覚えさせたつもりだが、こういう店は一度終わるともう二度と味は再現はされなかろう。
 この店はもう四代目だから昔からのお客も多く、まして京橋というのは昔映画会社が集まっていた関係もあって、芸能人が多くこの店の暖簾をくぐったと聞いている。今でも芸能界系のお客さんも何人も来るし、旦那の趣味の絵の関係もあってその関係の作家さんも多い。
 開発が終わってからは次男が新たな店を始める予定になっているそうだ。お疲れさん会が今週土曜日にある予定。