ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

愚考

 私の友人に俗にいうラーメン屋分野の商売をしている人間がいます。彼がいうには人手が集まらないそうです。それはどうしても安い賃金しか出すことができないからなんだそうで、最低賃金を云々するのはやめろ、外国人をガンガン導入しろと言っています。そうでないと商売が成り立たないというのです。
 一方、私の遠い親戚にスイスで暮らしているのがいます。彼女の話だと、スイスのマクドナルドのアルバイトは時給が日本円に換算したら2,000円を超えるというのです。物価がそれだけ高くなるわけですが、どうしてそれでやっていけるのかといったら、スイス人の所得がそれだけ高いからです。だから彼らはマクドナルドのハンバーガーが日本人の私から見て、目の玉が飛び出るほど高くてもおかしいと思わないわけです。
 じゃ、老後の貯蓄なんてどうするんだという話になりますが、社会保障が安定的に提供されるということが分かっていれば、そんなことを気にしないで消費すればいい、というわけです。
 アメリカに行くと、都会には必ず「ここは行っちゃだめね」というところが存在します。どうしてだめなのかといったら、低所得、あるいはほとんど所得のない人たちが集まって暮らしている地域だったりします。ほとんどホームレス状態で暮らしている人たちです。ちょっと町外れの高速道路の下に、よく見るとテントがいくつも張られているところがあったり、カナダではありますが、ヴァンクーヴァーではMainの通りとHastingsの通りの交差点界隈に行ったらその現場を目の当たりにすることができます。
 つまり治安が悪いというよりも、社会の底辺を構成する場所ができてしまっているということができます。つまり社会の固定化が進んでいるということに他なりません。
 こうしてみると、市場原理社会というものがいかに完成からは程遠いものなのか、いかに見捨てる部分を明らかに抱えたまま突っ走っているのかということがわかります。
 その点では共産主義社会が失敗に終わったのとなんら変わりのない失敗であるわけです。今やこの地球上からは原理共産主義の延長線上にある国家というものは、キューバが市場原理社会の典型である米国の軍門に下ることによって消失しました。これからキューバは東南アジアの各国が低賃金の労働力提供市場であるようにその後釜に据えられることになります。
 そのあとはいったいどこなのかといったら、多分アフリカになるのでしょうけれど、アフリカは未だに政治的成熟を迎えるには程遠いのが実情で、まだまだそこには至らないでしょう。
 さて、その日本の低価格外食産業です。今や従業員のほとんどは中国人を中心とした外国人になりつつあります。「ありがとうございます」と「いくらです」が日本語でいえればまずどうにかなります。何しろ味にしても、つくりにしても、マニュアル通り、教えられた通りにやればどうにかなります。お客だってそれ以上を要求する気もありません。だから、外国で外国人が営んでいる日本食屋だって大して変わりがないってことにもなりかねません。
 外国人に自由に就労できるように日本の入管法が改正されているわけでもありませんが、気がついたらこういうことになっています。裏口から入ってくる労働力そのものです。外国人研修・実習ビザで入って失踪して日本で暮らしていける人たちが増えているのにはこんな理由もあるはずです。それを知っていて政府は目をつむっているのです。それを厳格に管理したらもうすでにそれで動いている日本の社会が止まるからです。その点では全くアメリカと同一です。唯一大きな違いはオバマ政権があるポイントで、彼らに永住権を与える決断をすることです。そうでもしないと社会が動かないからです。
 日本が米国と異なるのは目をつぶったまま行こうとすることです。
 このままではどこかで爆発することは明白です。それがいつ来るのか、誰も見てみないふりで行こうというわけです。
 そのうえ、日本人にも低賃金労働を押し付けようというのが今度はれて安倍晋三が日本人に押し付けた労働者派遣法の改悪です。もちろん彼らは改正法と言っています。正しく改訂したというわけです。誰にとって正しいのか。それは資本家にとって、正しいのです。働く側にしてみたらいつまでも低賃金に押さえつけられて、そのアリ地獄から抜け出せられなくなります。つまり、資本家にとっての負のスパイラルからの脱却を労働者の犠牲のうえで実現しようということです。
 ところでその非正規労働者というのは日本の労働者のどれほどに当たるのかといったら、もうそろそろ半分です。半分の日本人の犠牲のうえにこの社会を構築するというわけです。
 これが正しい社会ですか!?明るい社会ですか?希望ある社会ですか?