ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

渡辺勝と金ちゃん

 昨日は久しぶりに渡辺勝と金ちゃんのデュエットがあるというので、池袋の鈴ん小屋(りんごや)というライブハウスにいった。ここでこの二人がライブをやるというのは何回かあって、行ってみたいなぁと思っていたのだけれど、一人で行く勇気がなくて、友人を誘ったら行こうというので、ならばとひさしぶりの池袋の夜であった。
 めしでも喰おうじゃないかと早めに友達と合流したんだけれど、二人とも酒をどうしても呑みたいというタイプじゃないから、安い中華そば屋の日高屋に入って、私は湯麺を食べた。なんと500円だっていうんだから、期待していなかったけれど、ちゃんと野菜が、しかも私の好みな状態で入っていたので、充分満足したのだよ。ほんのちょっとしか野菜なんて入っていないんだろうなと思ったんだけれど、ちゃんとしてんのよ。
 隣にきた若者は来るなり、枝豆とビールと注文し、その後ハイボールといっていた。一人吞みなんだろうか。私はひとりだったら、ず〜っと酒なんて呑まなくてもいられるんで、この辺の気持ちがわからない。
 鈴ん小屋というライブハウスに向かっていったら、すぐ傍の喫茶店から勝と金ちゃん、それに花巻の三人がでてきた。花巻っていうのはあだ名で、花巻の出身だが、私は彼の本名を知らない。彼ら三人は学生時代のサークルの後輩。いつまでもかわらない音楽性を保っている。
 勝は彼の友人だった高田渡ほど広く知られる歌い手にはならなかったけれど、いつも面白い情景を詞にして、しっとりと勝の色で唄う。そして金ちゃんも壺を得たアコーディオンと歌を続けて提供してくれる。
 金ちゃんはフォーク界の人たちと長いこと付き合ってきたから、前のように「夢で逢いましょう」を唄ってから、永六輔の話をした。中島啓江に永さんが佐渡で、突然「蝶々夫人」を唄ってよ、といって金ちゃんにバックをやれといったんだって。楽譜を探すのが大変だったといっていた。
 それから、ある日、突然永さんが金ちゃんに「ねぇ、そのアコーディオンの蛇腹なんだけれど、乳首を挟んだりしないの?」って聞いたんだって。今だったらセクハラだといわれそうだけれど、金ちゃんは「それはないですよ」といいながらあとで自分で実験してみた!というのだ。全員で爆笑した。永さんは本当にマメに様々な現場に足を運んでいた人だからね。
 聞き慣れない歌を唄ったあとで、珍しく勝が歌の説明をする。「今日は学生の時の先輩が二人来ているからいいますが、これは森君の結婚式のために作ったんです」とわれわれのことをいう。終わってから森君のための歌だったとは知らなかった、といったら、「奴も仕事を辞めたといってメールが来た」といっていた。
 彼らと一緒になって毎日過ごしていたあの頃からもうすでにそろそろ半世紀がたとうとしている。あっという間の出来事だったなぁ。