ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

Beaconsfield金鉱事故

 現地時間、今朝の5時一寸前に二人の鉱夫は地表から1kmの閉じこめられていたところから救出されたとABCが報じている。まさに2週間の長きにわたる地底生活であった。
 podcastで拾うとABCのラジオニュースはこの話題で満ち満ちている。もう一人の犠牲者の葬式がこの日行われたはずだとそのニュースを捜す。そんな中でようやく見つけたその犠牲者Larry Knightの葬式の「ニュース写真」を見ると彼の写真を抱えた家族は全くいつもの服装のままで、これがいかにもオージーらしいという印象を与える。

あげます、もらいました本!

 母校の図書館が恒例の除籍本あげますをやっているというので、いつもそんな時間には帰れないのだけれど、定時に職場を離れ、むかう。行ってみるともうとっくにおいしいところは全部ついばまれてしまっていて、なんだか滓のよう。多分毎朝新しく供給するんだろうけれど、朝にはとても行かれない。「ほら、ただでやるからもってけ」と寂しい中身の寂しい餌を撒いて貰った地鶏のような侘びしい気分がする。

  • 「国民の生活と意識の動向」:1978年版 経企庁国民生活調査課編 もっと古ければもっと面白いんだけれど、中途半端だなぁ。
  • 社会保障の国際比較」:1973年に書かれたP.R.Kaim-Caudleが書いた"comparative Social Policy and Social Security: A Ten-Country Study"なる本の訳本として1978年に誠信書房から出版されたもの。10ヶ国とはオーストリア、西ドイツ、アイルランド、UK、デンマーク、オランダ、カナダ、米国、ニュージーランド、オーストラリアである。30年前の話で一寸古すぎるけれど、歴史としてみるのは興味深い。
  • 「ハワイ移民常蔵書翰 ー近代日本人海外移民史料ー」:1995年に慶應通信から出版されたもので、福島出身の佐藤常蔵が1989年から1909年までに送った書翰集。巻末に18頁をつかって解説をしてある。こういう種類の出版物は研究者にとっては大変に参考になるのだろうが、出版する側からすればそんなに売れるはずもない類のものである。編著者、柳田利夫は当時慶應義塾大学文学部の助教授で*1、赤城妙子は慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程院生*2としてある。柳田利夫(編)『アメリカの日系人ー都市・社会・生活ー』1995年、同文舘出版、あるいは赤城の論文、日本古文書学会『古文書研究』第38号、1994年、「布哇(ハワイ)出稼移民の郷里への書翰を通してみた移民集団の諸階層ー福島県田村郡滝根村出身・佐藤常蔵の周辺ー」を読んでみたい気持ちにさせる。
  • 「南太平洋の現実と国際協力」総合研究開発機構(NIRA) :1980年に財団法人アジア太平洋研究会がまとめた報告。はしがきに「善隣外交をいい、アジア太平洋協力を口にしながら、日本人の南太平洋に関する系統的研究はおろか、関心すら極めて乏しいのが現実である」としてあるが、この25年間の間に、この辺の状況は変わっているだろうか。この種の研究機関については寡聞にして聞かないなぁと思って一寸調べてみたら、鹿児島大学の南太平洋海域研究センターというものがあったらしい。この研究機関は1998年から「多島圏研究センター」と呼ばれており、「アジア太平洋の多島域を対象とする学際的地域研究センター」として活動しているというが、珍しい研究機関ではないだろうか。この650頁にもなる報告書を貰って帰ってきたのは、ナウル共和国の当時と今を比べてみたいという誘惑に駆られたからである。かつてこの国は燐鉱石を輸出する裕福な国であり、私が造船所で働いていた時に私たちが担当していたいわゆるハンディ・バルクと呼ばれる2万トン前後のばら積船にとっては良く荷を取りに行く場所であった。地球の温暖化によって最も国家存亡の危機に立たされているバヌアツもこの地域にある。そして先日のソロモン諸島の事件にも見られるように台湾を含めた中国系移民が増加している地域でもある。「アホウドリの糞でできた国」アスペクト、2004年を近所の図書館から借り出してこよう。

*1:現:慶應義塾大学文学部教授。史学系日本史学専攻。主に海外への移民の歴史を素材として、近代日本人のアイデンティティの形成を研究

*2:現:目白大学人文学部地域文化学科助教