ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

不安定な陽気

 実は寒気が入り込んできているといわれるこの朝は、6時半頃に眼が覚めてみるとなんと外は雪であった。考えてみると子どもたちを連れてはゴールデン・ウィークに毎年入り込んでいた六合村の山の中でも5月というのに雪に降られた記憶がいくらもある。あの頃は斜面に穴を掘ってはブリキ板やらブロックやらを集めてきては炭の臥せ焼きに挑戦していた。一度として完璧に炭を焼くことの出来た記憶はないけれど、そうした作業に没頭した時期だった。焚き火の残り火を使ってブリキの一斗缶やお菓子用の半斗缶を使ってパンを焼いたりしたものだった。子どもにとってはなんとも無理矢理の野外生活だったのかも知れないのだけれど、そうしたなんの役にも立たない遊びが私にとってはとても面白くて仕方のない時期だった。彼らは今になってあの頃の想い出をどう思っているのだろうか。私がいなくなってから後、彼らはどんな感慨を持つのだろうか。
 誰も客が入っていない朝食後の露天風呂には2-3人の従業員の方が風呂場の掃除に入ってこられていた。お話をお伺いすると元々西武鉄道系のコクドが経営していたここのホテルも、事件以来出来るだけ堤会長色を薄めようと昨年2006年2月に株式会社プリンスホテルが株式会社コクドと合併して「新生 株式会社プリンスホテル」として再出発したのだそうで、なるほどそれで、隣の「万座プリンスホテル」の入口にあったPRINCE HOTELのロゴが昔のものを取り外して新しい、とはいえどちらかといえばあまりにも特徴のない、ロゴに変わっていたわけである。私はひょっとすると全く資本の異なる会社に売却したのかと思っていたのであった。
 朝の雪で草津白根ルートは渋峠で閉鎖になってしまっているらしい。
 今日の予定はまず天気予報は随分良くあたる。寒気が入ってきているんだからね、というのは朝の雪で思い知ったけれど、群馬県箕郷町みさと芝桜公園に到着したときはとても良い天気で昨年の秩父羊山公園のしばさくらを見たときに負けず劣らずの陽気だった。こちらのレイアウトは人の話によると天女の羽衣なんだそうだけれど、三保半島で少年時代を送った私としては天女の羽衣はこんなにど派手な色であっては欲しくないところであり、この言葉は頭から払拭することにした・・割には未だにこんなことを思い出している。かなりの人出のような気がするがそれでも駐車場は思いの外空いているといっても良いのだそうだ。肝心のシバサクラは3年前の丁度今頃のここの写真をアップされているこちらのサイトを見せて頂くと、段違いに3年前の方がふくよかな風情を見せている。今年のシバサクラの現状を見ると花株の間に隙間がとても多くて、たっぷりというよりも、かすかすという気がしてしまう。入場料を300円取っている割にメンテナンスに力が注がれていない気がするのだ。それとも今年のいつもと異なる気候のせいなのだろうか。ここも羊山公園のように地元の物産展のようなテント村が構えられていてなんだかどこにいるのかわからなくなりそうだ。連れあいがなぜか蕗と柿菜を購入。駐車場のわきに咲いていたとうのたった菜の花の群生の方が印象に残ったのはなんでだ。
 途中で積み込んだ高崎のだるま弁当と鶏弁当をシェアしながら今度は足利のフラワーパークに向かう。結構な距離だ。北関東自動車道を伊勢崎まで乗って、そこから今度は国道50号線を南下。やおら周辺の木々が枝を振り乱し、道路沿線に立っている幟がぱたぱたとたなびき始めたと思ったら左側の窓にばさばさと音がして激しい雨がたたきつける。天気予報が大正解。これじゃぁ、雷なんてものが鳴り始めたりするのだろうかと思うまもなく左の方に稲光がジグザグに地面に突き刺さる。こんなこっちゃぁ藤の花を愛でるどころの騒ぎじゃないなぁと不安になる。なかなか中の駐車場にはいるのは時期的に難しいのかも知れないなぁと思っていたのが、なんということはなく、スルスルとはいっていくことができる。雨はまだ降っている。こんなことだから入っていらした方々も皆さん早々と撤退だったのかも知れない。なにしろ、ここの藤の花はテレビでも放送していたし、公式HP「花の芸術村 あしかがフラワーパーク」をみると“世界が息を呑んだ”なんて書かれているし、たわわに咲きこぼれる「むらさきふじ」なんてものを見てしまったら浮き足立ってしまっていたから思い入れたっぷりである。しかし、もう少し冷静に「現在の花状況」ブログ(→こちら)をチェックすれば良かったのだけれど、そこまで見なかったものだから、大藤がまだまだ五分咲にまで至っておらず、「白藤のトンネル」は緑色の蕾がチョロンチョロンとぶる下がっているだけだ。これならあと一週間後から10日後くらいが最も感動する様子になるだろう。ここは入場料金が結構な値段であるだけあって(¥1,200.-)中は素晴らしい出来である。尤も入場料金はシーズンによって、入園無料から¥1,300.-まで変わるというのが面白い。つつじや、薔薇その他の花も綺麗に植えられた庭園になっていて藤でとても有名だけれど、その他の季節もそこそこ楽しめるだろうと思わせる。年間会費¥3,800.-という「花おいびと倶楽部」というものがあってこれに入会すると年間を通して入場無料になるというものもある。入場料だけではなくて、買い物の割引もあるし、同伴者(3名まで)の入場料金割引もある。あっち方面に暮らしていたら早速入会したいなぁと思わせる魅力がここにはありそうだ。さすが民営の庭園だけのことはある。

つつじ

 今日の締めくくりは群馬県つつじが岡公園である。昨日の妙義の「さくらの里」も群馬県立の公園だった。ここの公園も入場料を取るのだけれど、中をあちこちいっているうちに気がつくと、園内には周りからいくらでも入るところがあってなにも正面攻撃しなくても入ることが出来ちゃいそうなのがおかしい。根津神社の小綺麗にまとめてあるつつじはそれなりだけれども、ここの歴史のある大振りのつつじがのびのびと群生しているさまは箱根の山のホテルのそれをも遥かに上回って実に見事そのものである。なにしろここの歴史は「一帯を、室町時代の弘治(こうじ)2年(1556)に、すでにつつじが崎の名で呼んでいた」とこちらサイトに書かれているくらいのもので、恐れ入ってしまう。霧島つつじが真っ盛りの今、樹齢800年ともいわれる「匂当(こうとう)の内侍遺愛(ないしいあい)のツツジ」なるものを見ると自然に無口になろうかというものである。この歴史の前には「宇宙つつじ」(向井千秋館林市の出身で、スペースシャトルに搭載されたという市の花、ヤマツツジ)や「花博つつじ」(館林市が出品したのが樹齢約450年の桔梗咲き霧島(キリシマツツジ系)古木2株を出品。大きさ、咲かせた技術、優れた景観等の点から他に類が稀であると、最高の「名誉賞」を受賞)も形無しである。すぐ脇に水があるところ、脇の甘い公園であることなんかを見ると何となく水元公園を彷彿とさせるところがあるけれど、これだけの人出が期待できるところは大きく異なる。正門前に連なるお土産屋さんを見るとこの公園の歴史が理解されようと云うものである。それにしてもこうした店を見ていると昨年いった長瀞東尋坊鳥取砂丘あたりのお土産屋の連なりを見ても日本はのんびりしたサイクルで本当は動いているのだろうなぁと思う。
 ところで2-3週間前の永六輔の「土曜ワイド」でツツジという漢字「躑躅」の難解なことが話題になっていたけれど、ここのサイトに解説が載っていた。

「中国で毒性のあるツツジを羊が誤って食べたところ、足ぶみしてもがき、うずくまってしまったと伝えられています。このようになることを躑躅(てきちょく)と言う漢字で表しています。従って、中国ではツツジの名に躑躅を当て、日本へもその中国で使われていた名称躑躅が入って、つつじと読むようになったと考えられています。」

 おもしろい話だけれど、この歳にならないとこうした知識に興味を抱かないところが人間の効率の悪いところだ。ようやく知ったというのに、もうあと10年やそこらしか意識がないのだと思うと、なんでこんなことを繰り返しているんだろうか、人間って本当に学習能力がないんだなぁと残念だ。
 19時過ぎに帰宅。途中で買った「酒米うどん」なるものを茹で、テレビで見た夏木マリうどん屋じゃないが、すり胡麻、葱のみじん切り、柿菜、卵の黄身を搦めて食す。吾妻川の大津の新道路が出来たときに大きく造られた浅間酒造センターに初めて入って買った酒造り用に使う山田錦と小麦粉で造ったといううどんだったのだけれども、つるつる感が全くない、ぼそぼそうどんでがっかりした。
 そういえば吾妻川沿いの例のダム建設は世間の雑音に全く耳を貸さない旧建設省官僚の大昔に造った宿題に無尽蔵に金を費やしてどんどんなんの疑問も持たずに進行中であることにびっくりした。あっちにもこっちにも新しい道路ががんがん造られ、そのための巨大な橋脚柱があちこちに立ち、それはそれは大いなる土建業界貢献「昔の名前で出ています」プロジェクトが進行中である。これはどんな政権が生まれようと、族議員が旧建設省官僚とともに群がる蜜である。
 21時、爆睡す。