で、やれやれと寝ようとするとラジオが叫ぶ。「被害者の安全のために報道を自粛して参りました」と云うんだから当然誘拐事件だ。誘拐事件というやつは成功して逃げおおせた奴はほとんどいない。どんなやつなんだろうと思ったら、中国人と、韓国籍の男と東北出身の日本人という国際的な取り合わせ。それだけじゃなくて年齢もバラバラである。用意周到だったように見えるのだけれども、捕まった時にどうするかまでは考えていなかったらしくて、三人とも捕まるとあっという間に全部白状したようだ。一体全体、どこでこんなメンバーが集まることができたんだろうか。携帯から電話していたら、どこにいるのか直ぐに分かっちゃう、ということにも頭が回らなかったところを見ると、さほど完璧な計画ではなかったということか。
こうしてみるとお金持ちで、派手な生活している人が、不用心にもネット上で顔をさらすのは如何なものか、ということになる。「一階にいる」と誘拐された大学生は電話で話したらしいが、実際には三階だったというのはどうしたことなのだろう。
被害者ご一統様が警察から出てきたところでインタビューに答えていたところが各局のニュースで流れていたけれど、なんとも一種異様な雰囲気だったなぁ。「カリスマ」とか云われて「こんなに金がある、こんなにゴージャスな生活を送っている」とテレビは煽り立て、ご本人達もその気になっていた様である。勿論浅薄な行動をとってきた本人達は責められるだろうけれど、さんざんそんなことをして煽り立ててきたテレビ側もなんとも稚拙である。テレビという媒体がいつまでたってもその役割について語る時にマユに唾をしながら語られる背景にはこうした、きちんととどまって自らを律しながら語るという姿勢を持ち得ないところにある。
