ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

NHK「ドキュメント にっぽんの現場」「ベッド難民は何処へ行く」

 今日の現場は中野の武蔵野療園病院 医療相談室」であった。2006年の医療制度改革で療養型ベッドはどの様なことになっているかの報告。「膨れ上がる医療費を抑制する目的で長期入院患者のためのベッド=療養病床を大幅に減らす方針を制度改革に盛り込んだ。病状をランク付けし、診療報酬が低く設定される患者は病院経営の負担になるため退院を勧告される(こちらの番組サイトから)」。2011年度末までに療養病床が削減される。つまり、2012年3月までに38万床あった療養病床を約6割削減する。具体的にいえば医療型(約25万床)を約15万床に削減し、介護型(約13万床)を全廃する。
 どんどん他の病院から出された患者を抱える家族からこの病院にも転院を希望する連絡が入ってくる。しかし、無尽蔵にベッドがあるわけではない。入院判定会議を開き、病状、家族の介護力、経済的問題を検討し、受けるか受けないかを判定する。受けて貰えない場合は深刻だが、この病院で全てに対応するわけにはいかない。一方特別養護老人ホームはいつまで経っても待機者リストは短くなるどころか、中には600人が待っているという施設すらある。これは特養の入所希望者の一元化がされていないという面も問題だろう。
 それでも人手に余裕があれば在宅介護に切り換えることもできる。しかし、昨日の話ではないが、介護の手に余裕なんてあるわけもない。これから一体どうなるのだろうか。
 高齢者ケアはそれほど長いこと時間のかかる訳じゃないから、まぁ、こんなもんで良いかというニュアンスがこの社会のどこかにゆうらゆうらしているのではないだろうかという疑問を払拭し得ない。国家予算の歳出に占める割合がどんどん増えるからそれをどんどん民間セクターに渡して、しかも受益者負担にしていこうという考え方の妥当性というのは、本来的にはあり得ない話だと思う。誰も好きこのんで多くの人の手を必要とする状況に暮らそうとしているわけではない。今この時に負担をすることのできる人がその経費を拠出して支え合うというシステムを構築するのが本来的な近代国家の姿ではなかったのだろうか。政治の力というのはこうした暮らしにくい立場にいる人をどの様に支えることができるか、について発揮されるべきものであって、力を得た人たちにより大きな力を与えるシステムに発揮されるべきものではないと確信する。尤も、その方がやり易いので、そこに流され易いということは今の政権がとてもわかりやすく見せてくれている。

  • 再放送予定:5月 2日(水)午前 2:10〜(火曜深夜)