ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

福島の桜

 この週末にかねて福島の桜を見に行くことにしていたのだけれど、ちょっと遅すぎたかも知れないなぁと思いながら出掛けた。北上するに従って雨が降り始める。
 バスには私より年上の乗客ばかり。ほんの僅かに若い人が。さもありなん、今日は平日だ。後ろの席がやたらとうるさい。何事ならんと思うとどうやら8人組のおばさん。徒党を組むとどんなことでも怖いものなしになってしまうのは年齢性別に関係ないのは知っているけれど、まぁ、うるさいうるさい。最後には馬鹿笑いの渦、携帯電話で平気で話す始末。傍若無人とどまるところを知らず。
 最初の見物地は白河インターチェンジで降りて、すぐの南湖公園である。このインターではこれまで何回も降りたことがあるが、それは棚倉田舎倶楽部というゴルフ場にいったことばかり。他にはどこにも行ったことがない。

公園の誕生は1801年。白河藩松平定信が低湿地帯をしゅんせつして人工湖を造り、桜や松を植えて庭園とした。私邸だった大名庭園とは一線を画し、庶民が憩う「四民(士農工商)共楽」の思想を掲げて一般開放したため、日本の公園の発祥とされる。(2008年5月22日 読売新聞)

 という公園だそうだ。
 雨に霞む池の周りに桜があって、とても綺麗だ。桜の花を写真に撮るとやっぱり背景が青空の方が生えるのだけれど、今日の南湖公園のように雨に煙るのもなかなかだ。大正9年渋沢栄一松平定信を奉って勧請したという南湖神社も雨に濡れてしずかに落ち着いて見える。しかし、肝心のしだれ桜、「楽翁桜」はすでに盛りを過ぎてしまっていてなんだか「その後」の雰囲気だ。
 須賀川の緑が丘公園に立ち寄るも須賀川沿いの染井吉野は無惨にも終わりの佇まい。しとしとというか、ぽつぽつと降り続ける雨の中、ユキヤナギだけが見事に咲いている。
 今度は東北縦貫道をまた北上。二本松で降りる。こちらももう既に桜は終わり。今日はどこに行っても終わってしまったところばかり。
 そのまま岳温泉の櫟平ホテルに向かうが、なんとこちらは多少標高が高いせいか、まさに染井吉野真っ盛り状態。意外な儲けものという雰囲気。しかも、こちらの温泉のお湯が実に気持ちの良いお湯。源泉からはかなりの距離を配管してきているという話なので、当然追い炊きだろうけれど、このお湯は一度は入っておくべきだと確信する。このホテルは不思議なことに従業員が若い人が多い。地方の温泉街に行くと手垢にまみれた仲居さんばかりという雰囲気の旅館が多いけれど、ここはそうした手垢感がないのが不思議だ。このホテルは鏡池という池に面しているが、目の前の通りが桜並木になっていて、これが満開。もし、青空だったら多分相当に美しいだろう。
 もっと上まであがっていくと、角には「ニコニコ共和国国会議事堂」の札がついた建物があり、その隣の福島交通の車庫には「ニコニコ共和国国際バスターミナル」と書いてある。そばのお店には「ニコニコ共和国日本大使館」と書いてある。なんじゃ、これはと思ったけれど、思いだしたのは井上ひさしの「吉里吉里人」だ。あれが流行った頃日本の各地で「何タラ共和国」が流行った。その残滓だということだ。もうどこも彼処でも熱は冷めてしまったんだろうけれど、それをそのまま書きっぱなし・・・。どうにかしょういなぁ。居酒屋はやっているのか居ないのかわからないけれど、「ニコニコ共和国アルコール管理所」みたいなことを書いてあった。かなり寂れてきてしまっているのかも知れないけれど、このお湯の良さはちょっともったいない。中にはデイサービスセンターになっている元旅館もあった。これはなかなか良い発想じゃないだろうか。なるほどなぁ。
 腹を空かして駆けつけた夕飯会場では皿の数はすごいけれど、まぁまぁのメニューを戴いた。豆乳の豚肉しゃぶしゃぶがめっけもの。翌朝までに3回入浴を愉しむ。