ほぼ足りてまだ欲 その先

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水俣救済法

 鳩山由紀夫の政治資金がどうたら、麻生政権の余命がどうとかいっている裏で、「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の最終解決に関する特別措置法案」が今年の3月13日に自民・公明が国会に提出された。「水俣病特別措置法案」と略されていて何のことやらわからぬ。
 この法案は(1)水俣病未認定患者の救済策、(2)チッソ株式会社の分社化、(3)水俣病の地域指定解除の3つがセットになっている。
 「水俣病」といういい方をするとあたかも病気、風土病のような印象を与えるけれど、これは病気ではなくてチッソ株式会社(旧日本窒素肥料株式会社)が長年にわたって垂れ流してきた有機水銀によって引き起こされた身体および精神被害である。誰が悪いのかといえばチッソ株式会社が悪いのであって、その原因を特定するための調査でいたずらにこれを遅らせてきた県、市、東大医学部には大変に大きな責任があるのはもう周知の事実であり、今更この責任から逃れようと思っているとは思いもしなかったし、そんなことが許されるはずもないと思っていた。
 地域に症状が出始めてからもうすでに半世紀を超えている。今回のこの法案にどうしようもない欠点があるのはまずチッソ株式会社を事業継続会社と補償実施・公的債務返済会社に分離する案である。これでは「はい終わりました!」として事業継続会社を無罪放免しようという考え方に他ならない。そして患者認定で未だに二重のかせを作っているという点でもある。
 そして公害健康被害補償法(公健法)に基づく地域指定を解除してしまおうとしている。つまりあとは知らないというスタンスをとろうとしているということだ。
 このチッソ水俣による地域住民に対するとてつもない大犯罪を「もうそろそろ良いだろう」とか未だに「因果関係が証明されていない」という論拠で逃れようとするのはとんでもない話だ。被害者のなかには多くの胎児性被害を受けている人も存在する。この大犯罪の補償はいつまでと期限を切ることがその犯罪の性質上できないのは自らが犯した罪のせいだから仕方がないはずで、被害者を支援するのでなくて、加害者を支援していこうとする県や市、霞ヶ関の姿勢はとてつもなく看過できない。
 チッソ株式会社がどれほどの製品のシェアを握っていようと、どんな係累を会社の歴史の中で持っていようと、これだけの犯罪を犯して構築してきたことを消すことは金輪際できないことである。

水俣病不知火患者会水俣市)の会員65人が30日、熊本地裁に追加提訴した。2005年10月の第1陣以降第16陣で、原告は1811人となった。(毎日新聞熊本版 2009年7月1日)