ほぼ足りてまだ欲 その先

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雪になる

 今日は雪になるぞ、なるぞと天気予報がテレビでも、ネットでも言うし、twitter始めてからはそっちにも入ってくるので、一日中雪情報に晒されている。夕方まではそうでもなかったのに、暗くなってからとうとう雪になっている。ベランダからみると向こうに見える高層ビルの灯りが雪に閉ざされて見えなくなり、今日の夜景は妙に暗い。でも、昔はあんなビルがなかったので、こんな具合の夜景だったはずだ。
 夜が更けると周りの道路を走る車の音が殆ど聞こえてこない。良く雪が降ると音を吸収するからだという話もあるけれど、むしろ積雪におびえて車が出なくなっているからという理由の方がこの辺では大きいかも知れない。
 こういう雪が降ると想い出すのは、バブル真っ盛りの頃のこと。多分金曜日だったのかも知れないけれど、当時の呑み仲間と盛り場で呑んでいた。世の中も舐めていたけれど、天候も舐めていた。どうせタクシーなんてつかまらねぇよと覚悟はしていたけれど、ふと気がついてかなりの雪になっていることに驚いて、それなら歩いて帰ってやると、酔った勢いで歩き出した。何しろそれまでに二度ほど歩いて1時間半の距離を歩いて帰っていたから、自信はある。しかし、歩き出してから気がついた。あれは概ね春やら夏の歩いていても辛くない夜中のことだ。ところが今回は真冬のそれも雪が降る中だったのである。甘かった。行程の三分の一も来ないうちに、これはやばい選択をしたかも知れないと段々青ざめてきた。酒は完全に覚める。何しろふと立ち止まってコオモリを傾けるとドドッとつもった雪が落ちる。都会の雪はべたつく。どうしようと思っているところに、後ろから灯りが来て、それが白い個人タクシーだった。開けてくれたドアに滑り込んで最初に口をついた言葉は「命の恩人です!」だった。