ほぼ足りてまだ欲 その先

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非核三原則

 やっぱりそうだったんだという感想だ。誰も彼もが非核三原則は守られていないだろうと「暗黙のうちに了解」していただろう。ノーベル委員会は佐藤栄作の平和賞を見直さなくてよいのだろうか。西山太吉に対して当時の政権である自民党はどの様に接するというのか。謝罪をするべきではないか。名誉回復のためにするべきことがあるのではないか。総理大臣に就任した時に申し送りがなかったから私は知らないという立場をとる自民党の総理および外務大臣経験者は首を揃えてこれを認めるべきだろう。少なくとも海部俊樹までは自ら見て見ぬ振りをしてきたことを認めているわけで、その後の首相、外務大臣経験者すべてに対してマスコミは直接インタビューをとって国民にそのスタンスを知らしめるべきだ。そのままにしておくということは、それぞれのマスコミ自身がそれを別に問題ではないと認めたということになるわけで、西山太吉に対して恥ずべきである。
 それにしても残っていたのがオリジナルではなくてコピーだった資料もいくつにも上るというのはまったくの話驚きで、外務省という役所のずさんな業務に驚いた。しかし、よく考えてみると、社会保険庁のあの記録のずさんさも考え合わせると、そして各省庁の執務室の資料のとんでもない積み上げられ方を考えると、そんなずさんさというのは行政機関に共通するあり方なのかもしれず、公的文書管理というそもそもの「思想」を持っていないわが国の根本的な問題なのかもしれない。多分現場は「そんなこと云ったって今からどうやって、それもどこからやり直すっていうんだよ」という途方もない思いに駆られているということなんだろう。
 昨日原子力発電推進で民主党政権を見放すといったばっかりだけれど、政権逆転が起きなかったらこんなことも明確にすることは出来なかったわけで、この点については効果があったことは認めなくてはならない。
 本件に関してもすでに米国側は公文書を公開しているにもかかわらず自公政権はこれを無視していたことも忘れてはならない。どうやら日韓会談に関する公文書もすでに韓国では公開されてきているのだそうで、これは日本では未だに公開されずうそぶいた反応のままでいる。こうした状況が続くと後から後から不利な立場に立つことになる。

  • 中曽根弘文前外相は「当時承知していたことは国会等で説明した通り」→2009年6月答弁「米軍による核持ち込みは事前協議の対象。事前協議がない以上、核持ち込みがないことに全く疑いはない。歴代の首相と外相も明確に密約を否定している」(毎日新聞2010年3月10日 東京朝刊)
  • 町村信孝元外相は「難しい問題なので、報告書を読んで一定の時間をかけて検討しないと軽々に発言できない」→2008年「日米安全保障条約にいかなる密約も存在しないし、改めて調査する考えはない」(同上)
  • 川口順子元外相は「私は四つの密約とも知らない。事務当局の話と過去の大臣の答弁を調べて、『正しい』と信じるベストな答弁をした」(同上)
  • 安倍晋三元首相は「(密約)問題について検討、検証したことはない」「評価は歴史に任せるという覚悟をもって当時の指導者がそういう判断をしたのだろう。その結果、日本の安全は守られたと思う」(Asahi.com 2010年3月10日2時39分)
  • 福田康夫元首相は、「官房長官、首相時代には、その点(核持ち込みなど)での問題が起きたことはなかったと思う。特に関心を持ったこともない」(同上)
  • 田中真紀子元外相は、「核の話なんか(外相)当時は一切テーマに出なかった」(同上)

 米軍艦船が日本寄港時に装備していた核兵器をそのまま持ち込んでいたであろうことはどうやら肯定されるわけだけれど、そんなものはどう考えたってそうだったであろうことはずっと以前から想像はされていた。一体全体どこで装備兵器を外して格納するというのか。そんなことはこうした調査がなされなくとも誰もがそんなはずはないだろうと思ってもそのままにしてきた。
 しかし、それは今だからこそ、そんな状況を「なかったはず」だとして飲み込んでいた当時の与野党関係が全くおかしいといえるのだけれど、それを現時点で批判しても当時はそれをひっくり返す力となり得ないのは、歴史の認識の問題ということになるのだろう。
 報告書の全文はこちら毎日新聞サイトに。
 本件に関する毎日新聞電子版の公開量は他紙を圧倒している。
 一方産経新聞が独自の面白い見解を披瀝していることは特筆しておくべきだろう。

 日本が“国是”とする非核三原則に抵触する中身だが、鳩山政権は従来の三原則を見直さないとしている。岡田外相は9日夜のNHK番組で、冷戦後に米国が核政策を転換したにもかかわらず密約を否定し続けた歴代自民党政権を「政治の怠慢」と批判したが、報告書で三原則の形骸(けいがい)化が明確になったにもかかわらず、見直さないことこそ怠慢といえるだろう。(msn.産経ニュース2010.3.9 22:26)