ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

待ってて欲しかったなぁ 哀悼

 私が最後に在籍した学部には私と同じ年齢の先生が三人いる。いや、いた。女性がひとり、男性が二人。その男性のうちのお一人が尾崎新という不思議なお名前の先生で、いわゆる「援助技術」と云われる分野では大変面白い先生だった。
 某国立大学に出していた博士論文がとおって学位授与されるから来るようにと云われて真夏に半ズボンで行ったら、向こうはガウンをまとった教授陣がいて、えらく驚いたという話は酒の席で良く笑い話に僕らは持ち出した。「そういう人なんだから」といって。
 「自然体」という言葉でこの人を語るのは簡単かもしれないけれど、そんなに簡単な「自然体」ではないのだ。この人と相対して簡単な言葉で対応して済まそうとすると、そうは簡単にはすまない。自分が発する言葉をよくよく考えて発することを、一度立ち止まって、考えてみなくちゃならないなぁと云うことを考えるようになったのは、この人のおかげだろうか。
 私のゼミの先生とは在学中は最も多く酒を飲み交わした。しかし、卒業後、最も多く呑んだ先生は尾崎先生だろう。というのは院生仲間の多くが尾崎ゼミだったからだ。「今日は呑みますよ」と連絡を貰って駆けつけたことは何度もある。酔うにつれて私に向かって「良いなぁ、僕もリタイアしたらもう一回学生やりたいなぁ」と酔ったら必ずいった。若い人と一緒にいながら二人で昔のグループ・サウンズをくちずさんだ。
 彼は学生時代、本当に運動の闘志だった。私はノンポリのいい加減学生だった。それなのに、酒を呑んだら二人は同世代のおっさん同士だった。
 どうやら療養中らしいという知らせを院生仲間から貰って心配していた。ところが、彼は昨日私にとっては突然逝ってしまった。最後に交わした言葉はなんだったろうか。「また、呑みましょう!」だったんだろうなぁ、きっと。
 一昨日彼のいつでもキチンと整頓された研究室の前を通り過ぎて気になっていたのだった。
 それにしても早すぎるよ。待ってて欲しかったなぁ。
 コーヒー、美味しうございました。

 尾崎 新 → こちら

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