ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

旅に出る

 朝飯もとらずに家を出て、今まで乗ったことのない新しいスカイライナーで成田に行った。それでも上野から乗ったら40分くらいはかかるのだけれど、やっぱり速く感じる。しかし、ひとり2,400円をかける価値があるかといったらそれはどうかとはなはだ疑問なんである。京成はこんなものを始めてやっていけるのだろうか。人ごとながら心配である。
 11時間のエコノミー席は年々辛くなってくる。連れ合いはしまいに膏薬を貼り、頭痛薬を飲む始末である。尤もたぶん生まれて初めて4列の真ん中に座ったというせいもあるかも知れない。しかも飛行機の後ろから2列目というわけで、超エコノミー料金しか払っていないことが見え見えであった。
 飛行機の中でたぶんこのたびで最初で最後のレタスが出て、一瞬「これは食べていいんだろうか」と思ったけれど、これは日本で積み込んだのだから食中毒は心配ないにしても放射線汚染はどうだったのだろうか、と考える。前門の虎、後門の狼といって良いだろうか。
 一行は25名もいて、これは大規模ツアーである。同じ飛行機には他の旅行社が組んだツアーが乗っていて、日本人占有率高い。
 アイゼンシュタットまできて泊まる。ハイドンの家、という建物の前でためつすがめつしていると、向かいの扉から覗いたおばあさんがおいでおいでをしている。わからないままに入っていくと、一番奥まで行く。そこには裏庭があって、壁はツタが絡んでいるがこっちの建物も相当に由緒ありそうであるが、私は日本語と英語、その方は独語一本槍で、全く話はかみ合っていない。
 それでもレストランの部屋に入るとアーチ状になった天井が時代を物語る。ハイドンの楽譜や手書きの書物のコピーが飾ってある。
 ここの人たちは私たちが歩いていても、ことさらじろじろ見るわけでもないし、むしろ向こうが遠慮しているように見えるときもあるくらいの雰囲気で、なかなか居心地がよい。
 どこまでこの雰囲気が続くだろうか。