ほぼ足りてまだ欲 その先

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生活保護

 生活保護適用される人が増えているという話だ。208万人にのぼっていて過去最高だという。19日の夕方のテレビ朝日のワイドショーを見ていたら、自民党の世耕と三原じゅん子が大阪の西成における生活保護費不正受給の実態を視察にいったという。生活保護を受けていてパチンコへいくのは怪しからんといい、医者から睡眠薬の現物支給を処方され、それを転売する人までいると告げ、安易に生活保護に流れていっていると報じる。あの年越村がいけなかったんだ、それで仕事を探すよりも生活保護へという傾向を生み出したんだと世耕・三原はいっている。
 大谷昭宏がもっと大きい不正をただせ、その裏には暴力団がからんでいるぞと警句を発したらしいけれど、世耕・三原の本質を見抜くにははなはだ力のない、なんちゃって参議院議員をまともに相手にしたらしいテレビ朝日のスタンスも呆れる。ひょっとするとこれは逆説的な内容だったのかも知れない。つまり、この二人だと、こんな程度になっちゃうぞという。
 昨日のラジオを聞いていたら「2010年春に学校を卒業した人のうち、就職できなかったり、就職から3年以内に離職する人の割合が、大学・専門学校生で52%、高卒で68%(いずれも中退者を含む)に上る」と内閣府が推計を発表したのだそうだ。もちろん離職後再就職した人間ももちろんいるだろう。私のまわりでも転職したり、やり直ししたりという卒業生はいくらもいる。
 しかし、これは非常に大きな問題だといって良い。安定した労働環境が極度に減って来ているんだろうなぁということはおそらくいっても良いのだと思う。生活保護の問題にしても、若い連中まで適用される人たちが増えてきているということは大いに問題にするべきだと思う。
 これが毎年3万人以上の自死者を出し続けていることにも繋がっているだろう。これでもう14年連続だ。単純に計算しただけでもこの14年間に42万人以上が死んでいることになる。その原因のすべてがここにあるとは思わないけれど、労働環境の変化が影響しているだろう事は想像できる。
 小泉・竹中がアメリカのようになりたくて様々な制度をゆるゆるにして稼いだ奴の勝ち社会にしてしまった時に、労働者派遣法を改悪して企業よりにやりやすい方向にした。その結果殆どの業界で派遣労働を是とすることにしてしまったから、全く就労として不安定な方向に舵を切ったことが大変に大きな影響となって日本の若者に降り注いだといって良いだろう。
 その上、この労働者派遣法を本当に改正するといっていた民主党は、野田になってから明らかに方針を切り替えてしまい、今回の労働者派遣法改正案から「業界規制」を外してしまった。
 これからもこの国でこうした条件は改善される兆しも見えないから、いつまでも生活保護を必要とする人たちは減ることはないだろうし、若者の不安定雇用状況も改善される可能性は低い。ということは国民一般の生活力に格差が生じるようになる。こうなると医療皆保険も、国民年金保険も破綻に向かっている。つまりは小泉・竹中が理想としてきたアメリカに近づいていっている。
 かつて「この国は社会主義国じゃないんだから負ける人間が出たってしょうがない」と豪語した人を知っているけれど、それは自分が勝ち組だと思っているから言うわけで、決して自分は「負ける可能性」なんてないと思い込んでいるという幸せ組だということだ。
 しかし、震災と津波であっという間に天地がひっくり返ってしまう危険性をはらんでいるこの国で、そんなお気楽をいえるのは正しいとは思えない。自分がそうでないからこそ、そうである人たちの危険性を考える力があるはずなのだ。入院している時には本当に健康のありがたみがわかる。健康に飛び回っている時はそれがわからない。それをわかるために必要なのは想像力なんだけれど、それはちょっとばかり面倒だ。