ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

憲法論議

 何しろ明日は「憲法記念日」だ。私は日本国憲法を変えることについては反対の立場をとっている。特に第96条について、これを軽んじる風潮については言語道断だと思っている。それこそ憲法を軽視する態度である。

 憲法記念日を前に朝日新聞社は全国郵送世論調査を行い、憲法に関する有権者の意識を探った。それによると、憲法96条を変え、改憲の提案に必要な衆参各院の議員の賛成を三分の二以上から過半数に緩める自民党の主張について、反対の54%が賛成の3%を上回った。9条についても「変えない方がよい」が52%で、「変える方がよい」の39%より多かった。
(中略)
参院比例区の投票先で自民を挙げた人は49%に達したが、自民投票層でも、9条を「変える」が45%、「変えない」が46%とほぼ並んだ。自民党は9条を変えるべきだと主張しているが、変えない方がよいという人でも「景気や雇用」などを重視して自民に投票するという構図だ。
 また、今の憲法を「変える必要がある」は54%、「変える必要はない」が37%だった。質問文がやや異なるが、過去の電話や面接調査では1990年代後半以降、改憲派が多い。
 調査は3月中旬〜4月下旬に実施。有効回答2194件、回収率73%。
朝日新聞デジタル2013年5月2日0時14分)

 いつものパターンと何が違うかというと、コンピューターによって選ばれた番号に電話をかけて集める調査と異なり、今回はアトランダムに選ばれた人に郵送で質問紙を送り、記入後返送して貰う方式をとっている。
 ではNHKはどうか。
 「先月19日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行い、2685人のうち60%に当たる1615人から回答を得ました」と断り書きがある。いつもの調査方式である。

 今の憲法を改正する必要があると思うか尋ねたところ、「改正する必要があると思う」が42%、「改正する必要はないと思う」は16%、「どちらともいえない」が39%
(中略)
6年前にも同じ調査を行っていますが「改正する必要があると思う」という回答はほぼ同じだった一方で(前回41%)、「改正する必要はないと思う」という回答は8pt低くなり、「どちらともいえない」は9pt高くなりました。
(中略)
憲法9条」について改正する必要があると思うかどうかを聞きました。「改正する必要があると思う」が33%、「改正する必要はないと思う」が30%、「どちらともいえない」は32%で、ほぼ同じ割合.「改正する必要はないと思う」という回答は11pt低くなりました。
 96条についてすべての議員の「三分の二以上の賛成」から「過半数の賛成」に緩めるべきだという主張があることについて知っているかどうか聞いたところ、「よく知っている」(17%)と「ある程度知っている」(36%)が合わせて53%でした。(NHKニュース2013年5月2日 18時46分

 随分面白い結果が出たなと思う。朝日の方は各条文についてはこのままで良いじゃないかという傾向が出ているのに全体でいうと「憲法を変えた方が良い」が半分以上を占めているという矛盾だ。訳が分からない。ただ、ここのところ家電での調査は偏りが生じるという声が上がる中、郵送で調査した努力は買っても良いのではないかという気がする。そしてこちらの方が回収率が高いという不思議な傾向はやはり携帯電話時代の特徴かも知れない。
 一方、NHKの調査は非常に恣意的な調査の仕方で、これは大学の社会調査法の授業だったらかなり批判の対象になり得る調査といって良いだろう。
 というのはまず相変わらず保守的な回答が出易いRDD方式に固執している点である。家電での調査によると保守的な回答が出る可能性があって、一番この論議でも重要な立場に立っているといっても良い若年層からそのすぐ上の層が対象から除外されてしまう可能性が非常に高い。これは検討し直す必要があり、それが急務である。
 そして設問の選択肢が必ず「かえる」側であること。これは無意識のうちに強いニュアンスを与える傾向にある。そして96条についての設問が「そういう議論があることを知っているかそうでないか」という聞き方をしているけれど、これが「知っている」を聞きながらニュアンスとして「過半数に賛成」を印象づけるような扱いになっているという点である。
 私は朝日新聞NHKも一方通行伝達機関に過ぎない媒体であるとして同じ穴の狢と判断しているけれど、それにしてもさすがにNHKの作り方の作為的なものが非常に不愉快である。アベシンゾーには何度もやられているからなのだろうか。