ほぼ足りてまだ欲 その先

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規制改革会議

 厚生労働省は、認可保育所への株式会社の参入を加速するため、要件を満たせば認可申請を拒否しないよう、月内にも都道府県などに要請する方針を固めた。女性の就労支援を重視する安倍政権の成長戦略の一環で、2日の規制改革会議で表明した。
 子ども・子育て支援関連三法の成立で、2015年4月から、認可権限を持つ都道府県や政令指定都市などは、要件を満たした株式会社の参入を拒否できなくなる。
 厚労省は待機児童ゼロの早期達成に向け、法律の施行前でも株式会社の参入を妨げないよう求める通知を出す。
 参入する企業には、面積など客観的な認可基準に加え、経済的な基礎や社会的信望などの要件を満たすことが求められている。
 田村憲久厚労相は3月の記者会見で、株式会社の保育所開設に関し「認可要件を明確化し、自治体に知らせるのも一つの考え方だ」と指摘していた。
 株式会社は2000年から認可保育所への参入が可能となった。ただ、2008年には首都圏を中心に約30の保育所を企業が突然閉鎖した例もあり、自治体は倒産などへの懸念から、参入を認めないケースがあった。
 株式会社が経営する認可保育所は、2012年4月時点で376施設と、全体の約1.6%にとどまっている。
 また、同日の規制改革会議ではエネルギー・環境や雇用分野などの規制緩和を議論している四つの分科会が中間報告。検討結果を政府が6月に策定する成長戦略に盛り込むため、取りまとめを急ぐ。(東京新聞2013年5月2日 夕刊)

 福祉行政の中に組み込まれているべき社会保障事業を民営化するという動きは2000年の「社会福祉構造改革」以来大きく語られてきた。自民党は一貫してわが国は小さな政府を目指し、自由競争市場社会とするべきで、国が管理してきたものはすべからく民間に移管していくべきだという流れの中にいる。それがグローバル化の流れだと訳の分からない煽り方をする。
 公営の市民サービスというものはその採算性を極端に追求しなくても良いという点が民営サービスとの最も大きな違いだ。民間資本は何故事業展開をするのかといったら、そこから大きな利潤を得ることができるからなのだ。この種の社会サービスは本来的に利潤を追求する事業としてなじむだろうかという点が大きな疑問となる。民間企業が運営するということは当然その利潤を生み出さなくてはならないから当然利用者の負担が大きくなるはずだ。しかも、固定費の一部である人件費の最小化は当然経営上の目標となるだろう。それは何かといったら保育士の給与の最小化ということになるはずだ。となると、これが少子化対策として意味がある展開となるだろうかという疑問は大きい。
 それもただ単に少子化対策の問題だけでなくて、所得格差を生み出す要因にもなりかねない。これを論議している規制改革会議が果たして保育サービスの受益者、労働者の立場に立っているのか、そうでないのかという点について考えるにはやっぱりその会議の厚生委員を見ることから始める必要がある。
 この点をマスコミが伝えようとしているかといったら確実にそこはスキップする。そこを突くと必ず厚労省から目をつけられることが分かっているからだ。
 こうしたことを書くと、必ず「取りあえず、このアイディアを実行してみてから批判したらいいよ」という発言がある。2000年の社会福祉構造改革に際しても、高齢者介護システムの大変革にあたって、やっぱり同じ事を良くいわれた。しかし、結局指摘通りの問題が多く発生した。民営の介護サービスを大っぴらに大展開した企業はやっぱり利潤のあがらない地域からはすぐさま撤退し、行き詰まるとすぐに他社にその権利を売り飛ばした。
 やっぱり社会福祉サービスはどんなに税がかかろうとも、公的機関が実施するべきなのだ。そのために消費税を上げる、ということになっていたのではなかったのか。消費税は上げる、規制緩和して民間に委ねるでは、公約と大きく異なっている。
 ちなみに規制改革会議のメンバーはこちらで見ることができる。