6日開かれた産業競争力会議の分科会では初めて雇用問題が話し合われた。委員から「労働移動の支援を重視すべきだ」「流動性を高めるための前向きな制度が必要」など、「労働力の流動化」を求める声が相次いだ。解雇規制についても「解雇が認められる場合の合理性を法律で明確にできないか」といった意見があった (朝日新聞 2013年03月07日16時54分)
「産業競争力会議」
議長:安倍晋三、議長代理:麻生太郎、副議長:甘利明、菅義偉、茂木敏充、議員:山本一太、稲田朋美、
- 秋山咲恵(株式会社サキコーポレーション代表取締役社長)1962年生-京大文/法-Andersen-プリント基板の検査装置開発-小泉純一郎政府税制調査会委員、
- 岡素之(住友商事株式会社相談役)1943年生-慶応大経、
- 榊原定征(東レ株式会社代表取締役取締役会長)1943年生-名大応化修、
- 坂根正弘(コマツ取締役会長)1941年生-大阪市大工、
- 佐藤康博(株式会社みずほフィナンシャルグループ取締役社長グループ CEO)1952年生-東大経-興銀、
- 竹中平蔵(慶應義塾大学総合政策学部教授)1951年生-一橋大経(もう知らない人はいない新自由主義者という収奪者)、
- 新浪剛史(株式会社ローソン代表取締役社長 CEO)1959年生-慶応大経-三菱商事、
- 橋本和仁(東京大学大学院工学系研究科教授)1955年生-東大化学修、
- 長谷川閑史(武田薬品工業株式会社代表取締役社長)1946年生-早大政経、
- 三木谷浩史(楽天株式会社代表取締役会長兼社長)1956年生-一橋大商-興銀
榊原定征・東レ会長は、日本の産業競争力強化には、科学技術によるイノベーションの推進や製造業の国際競争力強化が重要との見解を示し、具体的には科学技術政策の推進に向け、各省の権限の枠を超えた総司令塔機能を強化することや政府の研究開発投資を「世界最高水準」に拡大することなどを求めていく考えを示した。
製造業については、円高、高い法人実効税率、自由貿易協定の対応の遅れなど「六重苦」の早期解消が必要とし、環太平洋連携協定(TPP)に関しては「日本の経済・産業発展のためにも、アジア太平洋地域の成長を日本に取り込むためにも、交渉参加が大前提」と話した。そのうえで、安倍晋三首相が3月の早い時期に参加を決断することを期待していると述べた。(朝日新聞 2013年3月7日16時7分)
もうメンバーを見ただけでなにを結論づけるのかは明確になっていて、なにもわざわざ金をかけて場を設けて彼らのいいたいことをいちいち「そうですか、ごもっとも」と議事に残すという無駄遣いをしなくても良さそうなものじゃないかと思うところだ。
むしろ噴飯ものといっても良いかも知れないけれど、このメンバーの口によってこの国は国民という労働者をとことん絞り上げていく方向に行かなければなり立たないといわせしめるというわけだ。彼らなら平気で「正社員だっていつでも解雇できるようにしろ」というだろう。
竹中へーぞーを筆頭にかれらは本気になって日本の労働者を追い詰め、払ってもいない法人税を下げろと主張することによって日本は良くなると思っているのかといったらまさかそんなことはないだろうと、普通の日本国民だったら思う、というよりは思いたくなるだろう。しかし、彼らは真剣にそういっているだろうから始末が悪い。
東レの会長はこの記事の中でも
政府の賃上げ要請については「一部企業が呼応する動きもあるが、賃上げは企業個社の問題で、それぞれの企業が業績に応じて決めるもの」との見解を示した。
と語っている。この動きの中で人の良い日本人の7割もがそれでもまだアベシンゾー内閣を支持するというのだから、二の句がつげない。
「産業競争力会議」と同様に正社員解雇の方法を検討するべきだという意見が出ていると、朝日新聞が報じている内閣府の「規制改革会議」というのもある。
こちらのメンバーはこれ。
委員
- 浅見泰司(東京大学空間情報科学研究センター教授)-東大都市工学修士
- 有富慶二(ヤマトホールディングス株式会社取締役会長)1940年生-中央大法
- 安念潤司(中央大学法科大学院教授)1955年生-東大法・弁護士 憲法
- 翁百合(株式会社日本総合研究所理事)1960年生 慶応大経営管理修士-日銀
- 小田原榮(東京都八王子市教育委員長)
- 川上康男(株式会社長府製作所取締役社長)1946年生-静岡大工
- 木場弘子(キャスター・千葉大学特命教授)1964年生-千葉大教(夫は与田剛)TBS
- 中条潮(慶応義塾大学商学部教授)1950年生-慶応大商
- 冨山和彦(株式会社経営共創基盤代表取締役CEO)1960年生-東大法-ボストン・コンサルタント
- 福井秀夫(政策研究大学院大学教授)東大法-建設省-東工大教授-法政大社教授
- 本田桂子(マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン ディレクター)お茶大-ペン大MBA-ペイン-リーマン
- 松井道夫(松井証券株式会社代表取締役社長)1953年生-一橋大経-日本郵船
- 米田雅子(慶應義塾大学理工学部教授 NPO法人建築技術支援協会常務理事)1956年生-お茶大数-新日鐵-東大建築・研究生-東工大教授
規制「改革」会議という名称は如何なものかという気がする。「産業競争力会議」と実に似たようなメンバーである。それにしても慶應義塾大学からみが大好きに見えるのは一体何事なのだろうか。
政治というものはすべからく国民がどんな境遇に置かれることになるのかを見通してそれに対して対策をとっていくということがその存在の意味なのだろうと私は確信してきた。だから、私たちの日本国憲法というものがそもそもの発想が誰のもので、どんな人のどんな意見で造られたものが基礎になっているのか、というよりもこの国に暮らす独りひとりの国民のためにどんな思想が語られているのか、という点が重要だと思う。
昔からこうだったから、それが良いという考え方ではなく、将来的に見通すことが最低限に必要なことだと思う。
企業がいわゆるグローバル化社会の中にあっても生き残るために、国民全員が非正規労働者にならなくては、いつでもクビになる可能性を抱えた不安定な労働環境の中で働かなくてはならないのだとしたら、本当にそうであるのならば、私たちはグローバル化する社会の中に加わるべきではないのではないか。