ほぼ足りてまだ欲 その先

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初鮨

 連れ合いの実家の傍に「初鮨」という鮨屋がある。名前こそ初々しいけれど、旦那ももう70歳くらいだろうか。連れ合いの小学校の同級生の実家で、そのお兄さんだ。昔から実家に線香を上げに来ると、そこで鮨を喰ってきた。お彼岸だからと仏壇に水ようかんを上げて、線香を手向けて、義理の弟に報告することをして、そこへいった。
 もう半世紀は経つだろう木造二階屋の昔ながらの店舗にのれんが掛かっていたから、あぁまだ無事にやってんだねとがらっと扉を開けると、旦那が新聞を読んでいた。土曜日とはいえ、昼飯時に旦那が新聞を読んでいるくらいだから、相当暇そうだ。造りもあちこち痛みが来ていてちょっと痛々しい。おかみさんもちょっと腰が曲がってきている。
 それでも頼んだチラシは昔通りの中身で、ちゃんとシャコも穴子も入っている。残念ながらシャリが柔らかすぎた。それでもおじさんもおばさんもまだやっているのがわかった。今じゃこの界隈もあっちもこっちも、みんな齢に勝てなくなって店をたたみ始めている。あそこの医者も、果物屋も、プレス屋も、薬局も、酒屋も、みんなチェーン店に取って代わられている。医者はそうじゃないが。