ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

先輩

 先輩というより、元職場の上司なんだけれど、私が仕えた忘れられない上司のうちの、大変に勉強になった上司のお一人が、ノルウェー人母・娘のカメラ発見の立役者だった。私はJRのお客様窓口を探し出して電話するところまではやったけれど、警察まではやらなかった。その元上司は、後は警察しきゃないなといった。私は一体どこの警察にコンタクトして良いだろうかと思いあぐねた。その間に彼はすばやく奈良駅を管轄とする奈良警察署に電話をして、こんな外国人の三人連れがカメラを探しているんだけれどと尋ねたのだそうだ。すると即座にタクシーの運転手が忘れ物だと届けていたことが判明し、その引き取りのために必要な書類を、その文章と共に聴きだし、私に連絡してきてくれた。その早業に感嘆。彼は母・娘三人組に「奈良に行くならこことここをこんな順番で」とアドヴァイスしていたし、直ぐさま奈良警察に連絡する勘の良さはいったいなんだろうと思ったら、彼はこの10年間ほど奈良時代にはまり込んでいて、何度も何度も奈良を訪れているというのである。
 そのきっかけはなんだと聞いたら、「俺はとにかく日本を知らなかったんだよなぁ」というのである。この人は私がまだ入社数年の時の上司で、その後米国に駐在したりしていたし、商売の相手が外国の顧客だったから現役時代はまさに日本のことに興味を示す余裕なんぞなかったはずである。それで日本の歴史を見つめ始めたところ、そこにはまり込んでしまったと説明していた。
 そういわれると、私も日本のことは何も知らないままここまで来てしまったなぁと思わずにはいられない。私が興味を尽くしているのは日本のそれも昭和に入ってからのことで、これなら、古文書を紐解く必要がないというのが私のメリットだ。
 その元上司は82歳である。