ほぼ足りてまだ欲 その先

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BS朝日

 三連休の中日のきのうBS朝日が2時間半かけてフェルメールの番組をやっていた。「滝川クリステルのオランダ美術紀行 もう一人のフェルメール 20世紀最大の絵画贋作事件を追う!」というタイトル。これはもうあのハン・ファン・メーヘレンの事に違いない!ってんで満を持してテレビの前に座っていた。
 この種の番組を作る連中の頭の中はもうほとんど決まり切っていて、名の知れた若い女を連れてくればみんなが喜んでみるだろうということになっているらしい。しかも滝川クリステルなんだから、知的な雰囲気も漂い、若いきゃぁきゃぁ女じゃない。と、思っていた。ところが何だ?この女は?何とも甘ったれた語り、その上このテーマには全くふさわしくない、というよりはあまりに不勉強な反応。見ていて、徐々に虫ずが走り始める。ハン・ファン・メーヘレンの話は多分フェルメール好きの人はよく知っているはずだ。残されている作品の数がとても少ないフェルメールはその全容を知るのに時間はかからない。私だって、オランダ絵画を見るようになったのはホンの3-4年のことで、それ位あったらすぐにわかる。
 この番組は2時間半もかけているというのに始まりは滝川が成田のKLMのチェックインカウンターから始まるものだから、なかなか肝心のハン・ファン・メーヘレンにたどり着かない。アムステルダムのセントラル・ステーションの建物が東京駅のモデルになった建物なんだなんて事にまで触れるのだから、どれだけ時間をかけてもなかなかハン・ファン・メーヘレンは出てこない。ライデンのシーボルト記念館に行ってシーボルトが持ち帰ってきた江戸期の日本家屋の模型とか、江戸の古地図を見て「へぇ〜、これって面白いですねぇ」なんてやっている。その辺の素人の観光客かよ。
 ようやくデン・ハーグのマウスリッツ美術館にやってきたと思ったら絵に手先を触れんばかりに腕を振り回す。見ているこっちがどきどきする。
 ようやくハン・ファン・メーヘレンの研究者だというかなり歳のいった先生を自宅に訪ねる。こう来れば滝川なんてどうでも良くて、新しい面白い話が出てくるのかと、期待に高まる。ところがでれでれ、ぶりっこ口調の滝川の話ばっかりで、これまで知られている話ばかりだった。
 最も面白かったのはアムステルダム国立美術館の修復室での話で、ハン・ファン・メーヘレンが如何に絵を古く見せるために工夫をしたかという話だった。
 結局この番組はスポンサーとして合間合間にうるさいほどの広告を流していたフェルメール・センター銀座なるものが開催する「フェルメール 光の王国展」(まだやってんのか!?)の宣伝番組だったのだ。このレプリカ展というものは3-4年前に「真珠」が上野に来た頃からやっている。福岡伸一がよろこんで音頭をとっているらしいけれど、本当に商業ペースでやっているのは誰なんだろう。
 滝川クリステルは願い下げ。テレビなんてこんなもんだよ。

フェルメールになれなかった男: 20世紀最大の贋作事件 (ちくま文庫)

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