どうやら教育法の変更に調子に乗って、本気で法人税減税をしていこうと思っているらしい。したたり効果が彼らの切り札である。あれ?いざなぎ景気を遥かに上回る好景気が持続しているのではなかったのか。景気が良いといったって今の私にはほとんど眼に見える何ものも起こらないままだ。社会保障に影響のあるものはどんどん、あれよあれよと後退していき、その分を大企業に廻していくようなものである。ダメだ、どうしてもこれでみんな総倒れになってしまう、そんな時が来たら市民の預貯金はド〜ンとなくなってしまう、そんなことがあったら保証できる預貯金はこれだけだぞ、と脅しに脅しをかけて都市銀に思いっきり公金投入して助け上げた。「いやぁ、ここまで生き返ったのも、市民の皆さんのおかげです、本当にありがとうございました」と感謝感激雨あられの大キャンペーンでもあるのかと思ったら、そんなことどこ吹く風。史上空前の最高益だなんて話を聞いちゃ、いったい誰がこの上の企業減税なんかを納得できるというのだろうか。
出入りの職人が潰れそうだと大店の大旦那に頼み込んだ。大旦那は裏に持っている長屋の住民に「悪いんだけれど、あいつを助けたいんだ。あいつがダメになっちまうと、うちの商売に大きな影響が出るんだ。すると今皆さんに住んで貰っている長屋の補修にも影響が出ることになっちまうかも知れないんだよねぇ。そこでどうだろうか、みんなでいくらか集めちゃ貰えまいか」ってんで頼んだ。長屋のみんなは日銭商売の連中ばかりだけれども、自分が選んで暮らしているこの長屋だから、そりゃてえへんだってんでなけなしの銭を集めた。おかげでその職人も立ち直ったと思うや、その仕事のできが良いと評判になり、どんどん商売が拡がる。すると大旦那がまたいう。この際、あいつの商売をもっともっと江戸一番になれるようにしてやりたい。そうすれば長屋ももっともっと綺麗になるんだ、と。
こんなのおかしいと思うよ。もうその手にゃのらねぇ。長屋を変えようじゃねぇか。違う大家のところに住もうじゃねぇか。そんなバカな話はないよ。あいつには「お世話になりました」って挨拶もねぇじゃねえか。とんでもねぇ話だ。瓦版屋も瓦版屋だ。なんでそんなのおかしいと主張しねぇんだろうねぇ。万事つつがなく過ごすのは大事なんだけれど、大家のいいなりになることがつつがない生活だと思わせられているのは間違いだよ。
ト○タ方式とかいって、自分のところに在庫を持たずに下請けに調整させて時間ぴったりに持ち込みさせることが大きな改革なんだともて囃されているのはもう随分前からだ。ところがよく考えてみると、在庫を抱えることが経済効率が悪いんだとするとその在庫を今度は抱えさせられている人たちにとってはそれは悪い効率を抱えさせられている、ということになる。それでもいうことを聴かなきゃ仕事にならない。唯々諾々とならざるをえない立場を悪用した方式。しかも道路はあたかもその横持ちのために存在するかの如き状況となる。彼らの効率のために私たちは公金をつぎ込んできた。ここも世界一の企業といわれていてバスツアーでもこの会社の見学ツアーが大評判である。本当にみんな人がよい。そんな企業に負担して貰う法人税までも減らしてしまおうという。そしてそのしたたり落ちるお情けで下々はかつかつに暮らせと、そういうことなんだろう。
じゃ、なんでこの国の第一党は彼らをそんなに優遇するんだろう。簡単にステレオタイプ化して話してしまえば、それが一番儲かるから。責任とって100万円の収入を国庫に返しても平気で暮らせるような人は困っちゃいない。ま、困っちゃいないんだからなんのペナルティーにもならないことは多く語られている通りのことではある。じゃ、なんでそんな人たちが第一党を組織しているんだろう。そりゃそこに票を投じる人たちがいるってことだ。利益法人に勤める人はその組織の中にいるからと第一党に投じているということなんだろうか。組織の一員である前に、市民としての人間であることを忘れちゃう。ホワイトカラー・エクゼンプションでとことん働かされた挙げ句の果てに、自分を守ることのできる手段を執ることをしないのであれば、それは自縄自縛。自業自得。人が良いにも程がある。