ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

「時間の止まった家」 ー「要介護」の現場から

 光文社新書 関なおみ著:1972年生まれの女性外科医が医学書院発行の雑誌「公衆衛生」第66巻第4号(2002年4月)〜第68巻第3号(2004年3月)に連載した「介護保険下の公衆衛生活動を考える」に加筆修正したもの。東京のある区役所が設置した「保健福祉センター」でいわゆる「困難事例」の人々に対応するチームの医師である。当初これが月刊誌の連載だと確認せずに読み始め、雑誌「論座」の4月号特集で”論断は今や雑誌に書くべきものすら各社の新書として出版されてしまい、ほぼ死に体”のような表現を思い出した。そのはず、これはもともと月刊誌連載だったわけだ。困難事例にどのように取り組んできたか、という話はけっして同じケースというのがあり得ないわけだから、そのまま役に立つことはないけれど、「発想の仕方」というヒントを手に入れることができるから、役に立つ。著者はむかしから、”他人の「家」に対する好奇心は、私自身の仕事や生き方にも影響を及ぼすようになり」と書いている。私もそうだったと思っていたんだけれど、ここのところ、そんな前向きの気持ちがどんどん萎縮していって居り、できることならばできるだけ長い時間、自分のこの部屋に籠もっていたいという気持ちが強い。これでは「オーラルヒストリー」に携わることなど、とんでもないのかも知れないなぁ。
 昨年死んだ永井明の「ぼくが医者をやめた理由」を読む必要があるのかも知れないと思う。